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俺って嘘つくの下手になったかな、ともう1人の親友にジド目で見られてそう思う。
「愁今日元気無くね?」
「それ今日俺も聞いた」
「…えー、そんな分かりやすい?」
自分としては上手く隠してるつもりだった。
俺が分かりやすいだけなのか…それともただ琉生の勘が鋭くなっただけなのか。…その両者でもなくたまたま勘づいたのなら有り難いんだけど。
「お前学校に来たらすぐ鞄開けてお菓子食べてんのに今日まだ開けてねえじゃん」
「…何かお前今日違和感ある」
昴流は完璧に勘だけど、そうか。言われてみればよく朝飴を舐めていたかもしれない。
何だ、俺がただ分かりやすかっただけか。
こんなこと滅多に無いんだけどな。何が原因だ?
零とのやり取りに疲れた?セックスが精神的に来てる?昨日の女との会話のせい?
1つ目は無いか。それならもっと前に2人に指摘されてそうだ。2つ目も原因の1つだろうが、3つ目も有り得る。誰かにあんな話したのあれが初めてだったから。
じゃあ、その会話の中の、どんな会話だ?
…分からない。自分のことなのに検討もつかない。
「俺も良く分かんないわー」
どう言えば良いかわからず、笑って誤魔化した。
「…愁もしかして桂木さんに無理矢理ーー…」
「それはないから大丈夫だよルウちゃん」
どうやってそうなった。多分それだけ…いや、それもそれでかなりの一大事だけど、俺されたら元気ないよりも前に零ぶん殴ってると思う。
「じゃあ、桂木さんと喧嘩した…?」
「それもないから安心して良いよー」
というか1回零から離れようか。絶対零のせいじゃないから。昴流の中で俺と零の関係ってどういう風に思われてるんだろ。
「ほら、多分疲れてるだけだから」
「本当か?ならちゃんと寝ろよ?」
「ちゃんとした飯食べてる?」
「はは、大丈夫だって」
俺は嘘と誤魔化しばかりでできていて、お前らにさえ何度も本当のことを隠してきた。
それでも、『元気がなさそう』ってだけで俺を心配してくれる。
2人といると、何をしても埋まらなかった深い深い穴がほんのわずかに埋まった気がした。
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