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「お前大丈夫?」
「…へ?」
客が少ない時間帯になって、店に2人きりになったとき零にそんなことを聞かれた。
今日それを聞かれるのは3人目だ。
嗚呼、そう言えば何時も時間ギリギリに来んなって言ってんのに今日は何もいって来なかったな。
俺気を使わせる位いつもと違う?
「ワンコが学校では元気そうだったけど朝元気なかったから俺にもお前を見ててほしいって言われてな。お前元気ねえの?風邪?」
「いや、大丈夫」
嗚呼、昴流経由で知られたのか。昴流は俺のこと心配しすぎなんだよね。でもまあ、それがあいつの良いところでもある。
「何か有ったら言えよ。お前溜め込むタイプだろ」
ポフポフと俺の頭を撫でる。何時も横暴で、セクハラばっかしてくる癖に、こう言うときは優しい。たまに見せるその優しさがあるから、零のことを嫌いになることが出来ない。
ただ横暴でセクハラだけの人間なら嫌いになってる自信がある。
「俺溜め込んでるかなあ…」
「俺にはお前は何時も誤魔化してるように見えるけどな」
ー他人だけじゃなくて"自分"もなー
「それで、自分はまだやれるって自己完結して、自分1人でどうにかしようとする」
嗚呼、痛いところを突いてくる。
自分に嘘をついてるつもりは無いんだけどな、他者から見てそう思われたならそう言うところが有るんだろう。
でも、それを止めろと言われても俺には止めることが出来ない。
俺のつぎはぎだらけの心がそうさせているんだから。
心ってものは脆い物で、見かけは修復できても中身はそう上手くいかない。2度と元には戻らないかもしれない。
自分はもう大丈夫だと思っていてもその、奥深くに眠ったその傷が俺に嘘をつかせてる。
最初は自分を守るための嘘から始まった。
それが他人を攻撃するためのものに、して普通なものに変わった。
でも、両方自分のため。壊れてしまいそうな"自分"って人格を守るため。
他者を生贄とすることで、俺は自分を保ってきた。
どう言えば、良いんだろうか。
簡単にいってしまえば"癖"。
傷から生まれたその癖は、傷が完全に癒えなければ直ることはない…そんな感じだ。
例えで言うなら昴流だ。
今はもうしてないが、自傷行為を止めろと言われても止めることができなかったあの時の昴流と同じだ。それが俺は"嘘"だっただけ。
「…まあ、気を付けてはみるよ」
「ん、嫌なことがあったら言え。無理すんじゃねえぞ」
「えー、それ言ったらゼロちゃんのセクハラ超嫌なんだけど」
「それは諦めろ」
「うわひっでー!言った意味無いじゃん」
でも、そこそこ平和になった最悪な日常が嫌いな訳でも楽しくない訳でもない。最近では昔と比べて心から笑える日が多くなった。
そんな自分がいるのも事実だ。
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