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零の大学はそこそこ良いところで、そこそこ大きかった。お陰でどの校舎がどの学部なのか探すのが大変。どの校舎なのかも聞いとけばよかった。
「もしかして…『ユウ』君…?」
「あ?」
夜での名前で呼ばれた気がして後ろを振り返ってみると、女と目が合った。
俺が最後に相手した、唯一夜の相手で名前を聞いたその人。たしか、名前は…
「美桜」
彼女に似合う、優しい人柄を印象づける名前。
大学生だったんだ。
「どうしてここに…?」
「バイト先の先輩の忘れ物。今日提出しねえといけないみたいだから届けに来た」
「あ、そうなんだ…」
…嗚呼、そうだ彼女に聞けばいいんじゃないか。
「文学部の校舎ってどこ?」
「文学部?…嗚呼、ちょっと離れてるから分かりにくかったよね。一緒に行こうか?」
「助かる」
美桜ちゃんに案内されて歩くこと2分。やっとそれらしき校舎が見えてきた。
こっからまた零がどこの教室に居るのか探さないといけないのか…出てこいって呼び出そうか。
「今更だけど私が持っていってあげようか?私も文学部だし、科と学年が違うかもしれないけど、大体は人の名前把握できてるし…」
「嗚呼…それもそうだな」
「魔咲遅ぇ」
美桜に頼んで奢ってもらうのはまた今度ってことで帰ろうとした時に、良いタイミングで校舎からそいつが出てきた。
「えっ、ユウ君が言ってた先輩って桂木なの?」
「嗚呼」
「げ…何、魔咲こいつと知り合い?」
互いを見て、嫌そうにする所からして同級生か。そして恐らく友人、もしくは友人ではなくてもそれなりには話す関係。
こいつに女の知り合いがいるのが意外だと思ったのは口に出さないでおく。
「あー、それよりこれ」
「お、サンキュ。愛してる」
「きめえ。そんなこと言ってないで早く学食」
「そう言うな。ダチ来るまで待って」
「え、ゼロちゃん友達居たの?」
「ゲイにも友人位1人や2人居るわ」
あ、ゲイってオープン状態なんだ。俺零のそう言うところ好きだよ、堂々としてて。
「桂木ー私も学食行くからついでに奢って」
「女には奢らねえ」
「何よー、ユウ君連れてきたの私よ?少し位感謝の気持ちをねー…」
「いや、女にはちょっと…お前が男なら100円までなら奢ってやったけど…つかユウってなんだよ」
「夜使ってる名前」
「あー、ヤったのか」
さらり、と真顔で言ったそれのせいで、すれ違った人がちらりと俺たちの方を2度見する。
美桜ちゃんは「オブラートに包みなさいよ」って怒ってた。
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