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「愁」
「ん?やっぱルウちゃん殴りたくーー…っ」
「熱い抱擁…だろ最後は」
ぎゅう、と昴流が俺の背に腕を回してグリグリと肩に額を押し付けてくる。
確かにメロスにみたいにとは言ったけど…。
「敵わないな…本当」
「ん」
俺も昴流を抱き締め返すと、嬉しそうに抱き締める力を強くしてきた。
「ありがとな」
俺を心配してくれたこと、俺を許してくれたこと。俺の親友でいてくれたこと。
本当にありがとう。
「…あっ、そうだ。あのね、俺恋人できた」
報告がまだだった事を思い出して、よしよしと昴流の頭を撫でながらそう伝えると、ピタリと昴流と琉生の動きが止まってしまった。そりゃあもう時が止まったみたいに。
「相手はゼロちゃんなんだけど」
「…ほんと?」
「嗚呼、本当」
「ふふっ…、そっかあ」
相手が零だと分かるとふにゃりと安心したように微笑んで、またすりすりと俺に擦り寄ってきた。
「…あれ、愁桂木さんとは付き合わないって言ってなかったか?」
「嗚呼、うん。負けた?…思ってたよりも好きだったみたいでさー」
「そうか。…おめでとさん」
「っわ…」
わしゃわしゃと琉生が頭を撫でてくる。
その手は零と同じくらいに大きくて、流石バスケをしているだけのことはある。
俺に好きなやつが出来たとこ、そいつと付き合うようになったこと、それを心から喜んでくれる親友に2人も出会えた。
昔とは違う。2人以外にも俺の周りには沢山の人がいて、そして彼らに救われた。
それでどうやってまだ不幸だなんて言えるだろうか。
人の不幸を望む事しか出来なかった俺はもう終わり。
まだ登り始めたばっかりでゴールなんて見えないけど零だけじゃない、皆が待ってくれているその場所へ、一刻でも早く辿り着くために頑張ってみようと思う。
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