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先週の金曜日、愁に恋人が出来たと聞かされてから早3日。
先々週と先週は元気がない時が多かった愁だが、今ではすっかり元気だ。桂木さんのおかげだろうか。
「まーさーきーくーーん、お菓子を食べない。しまいなさい。授業の準備をしなさい」
「お菓子は俺の筆記用具でーす」
「どうやって書くつもりなんですか貴方は」
化学の時間。ただ涼に始業初っぱなから刃向かってるようにしか見えないが、元気な証拠だ。先週は言い合うどころか全然鞄の中にある菓子に手をつけなかったから。
周りは2人のやり取りにハラハラしているが、1週間ぶりの元気な愁を見ていると自然と笑みが溢れた。
「あっ、教科書家のクローゼットの奥に突っ込んだままだ」
「それ4月から言ってますよね??」
「いやだって使わねえし~」
「使わないじゃなくて使いなさい」
「えー…もしもの時はルウちゃんとルイちゃんが見せてくれるんで大丈夫でーす」
「嗚呼言えばこう言う…、先週の大人しさを分けてもらいなさい」
「んなこといわれても無理、これが俺」
あ、涼「もう嫌だこいつ」って顔した。
ごめんね、涼。今日は許してあげて。俺も今日は止めない。何というか、今日はずっと元気な愁を見ていたい気分だ。
「おい愁、椿先生と喧嘩すんのそろそろ止めた方が…、その周りがだな…怖がってるというか…」
「何だよ、下僕」
「下僕?!!」
後ろの席に座っていた琉生が止めに入るが「下僕」と言われて終了。2人の言い合いの中に「俺は下僕じゃないぞ」と入ってしまう。カオスだな。
俺はさっきからちらちら見られてるし…もっと見ていたいけど止めないといけない空気が漂い出してしまった。…うーん、仕方ないか。
「愁」
「んー?何ルウちゃー…あいてっ」
ビンゴ。俺の方を振り向いた愁の額に消しゴム直撃。
前飴でやったら注意されたからちゃんとそこは変えたよ。投げるもの。あ、そういう問題じゃない?まあ良いじゃん。気にしない気にしない。
「愁が元気なの嬉しいけど、周りが怖がってるみたいだから…ね?」
「…ルウちゃんの可愛さに免じて許してやらんこともない」
「何様ですか」
「えっ、何で昴流のは聞いて俺は下僕なの??誰か解説求む」
「琉生も落ち着く」
「……昴流に免じて許してやらんこともない」
「だから何様ですか貴方達」
「何なんだよマジで…」と呆れてため息をつく涼の心の中の声が聞こえた気がした。
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