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会場になっている大学の正門の辺りで受験者が出てくるのを待つ。
早く来すぎたのか中々人は出てこない。
携帯で時間を潰し、20分位待った頃にゾロゾロと一斉に人が校舎から出てきた。
水瀬さんと桐華さんを探す為にキョロキョロと辺りを見渡してみる。
中々2人は出てくる気配がない。
見落としてるかもしれないなあ、と思って最初辺りに出た人達にもう1度目を向けるが、やはり見つからない。
これだけ人が多いと見つけるのは時間がかかりそう。
1番最後に出てくる可能性もあるし気長に待つことにする。
その10分程が経って、やっと見つけた2人の影。
遠くから見ても分かる位に水瀬さんの落胆の色は濃い。
この様子からしてあまり解けなかったのかもしれない。
…大学落ちたら俺の教え方のせいだよなぁ。もし落ちてたら罪悪感が。
「ろぉぉぉじょぉぉ…!!」
水瀬さんも俺に気付くなり、泣きそうな顔をして俺に抱き付いてきた。それに対して頭を撫でて慰めながらどうだったか聞いてみる。
「何かさぁ、今年さぁ…!!ムズいのに当たっててさぁ…英語長文ふぁっ?!!ってレベルだったんだよぉ…」
「はは…そう…」
聞いた話ではセンターって波があるらしいからなぁ…。英語で山にぶつかったのかな…。谷あり山あり。そう簡単にことは運んでくれないみたい。
「俺が言ってた通りにした?」
「ちゃんと接続詞とか熟語は印付けて全部英文に目通したし、こう言うこと言ってるんだろうなあって考えながら解いたし問題文もちゃんと読んだ…」
対策の時は心配だったが、何だかんだで俺が言ったことは全部してくれたらしい。
「お疲れ様水瀬さん」
「っぅお…?!」
ぎゅうぎゅう、と水瀬さんを抱き締めて背中をポンポンと撫でる。
難しかったってことは水瀬さん以外の人も難しいと思ったってことだろ?水瀬さんは最善を尽くした。
俺が教えた通りにしてくれた。これで結果が出なければ俺の責任だな…。涼に教え方聞いとけば良かったかも。
「何言ってんの。こいつが高望みしてレベルに合ってないとこ志望するのが悪いのよ」
「桐華ぁ?!!」
「先生にも難しいって言われてたのよ?そこを第1志望にするなんて…ねぇ…」
桐華さん毒舌。
否、それでも悪い。だって俺のせいで浪人生…ってなったら…。
「大丈夫よ、滑り止めこいつ受けてるから」
「そ、そうなの…?」
それなら良かった…。もし落ちたら俺の力不足で申し訳ないのには変わらないけど…。
「わんこお疲れ様。2週間この馬鹿に付き合ってくれてありがと」
「んにゃ…っ、んぅ…」
よしよしと俺を撫でてくる桐華さん。
俺そこまでのことしてないのにな。まぁそりゃあ、文法1から覚えるのはきつかったけど、そんなの使い方見ながら説明することも出来る訳だし、たったの2週間だ。
俺でも力になることが出来たんならそれで良い。
「明日も、頑張ってね」
明日もセンターはあるらしいから2人に向けて応援の言葉。俺が教えれることはもうないから、後出来ることと言ったら2人が合格するの祈ること位。
「…良い子」
「俺合格出来る気がしてきたわ」
「?うん。頑張って」
「わんころお帰り。お帰り癒し…」
「…?」
俺どっか出掛けたっけ?今出掛けてるな。
でもお帰り…じゃあないよなぁ…。どっちかと言えばこんにちは…とか?
誰か通訳用意して。俺涼だけじゃなくて水瀬さんの言葉も分からなくなってきた。
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