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「ああああ…!!先輩からの手作り!!家宝にします」
「食べてくれないと困る」
「ルウちゃんもっと」
「家に何個か残ってるけど…今はこれ以上ない」
「欲しい」
翌朝、昨日作ったブラウニーを渡せば騒がしくなるそいつら。
食べ物を永久保存すると言い出す舞那ちゃんと、開けてすぐ頬張った愁。対照的な2人だ。
一杯昨日チョコをもらっていた筈の愁におかわりを強請られ苦笑。
はいはい、本当菓子好きだなお前。明日残ってる分全部持ってきてやるよ。
「ん…美味い。ありがとな」
琉生は2人で間を行き、少しずつ食べる派なようでひとつ食べたらブラウニーを入れていた袋を閉じ、ぽふぽふと大きな手で俺の頭を撫でて礼を言ってきた。
この中だと琉生が1番の常識人に見えるのは気のせいではないと思う。何事も中間が1番らしい。
「ちー、家宝にすんなら頂戴」
「嫌ですよ、家宝をあげる馬鹿がいると思いますか?」
「家宝にされるお菓子が可哀想だから俺が親切に食べてあげるって言ってんの~」
「要りませんそんな親切」
気が付いたら始まっていた菓子の取り合い。こんなことでも喧嘩をするのかこの2人は。そんなにブラウニーが好きなんだろうか。仲が良いな。
「ルウちゃぁん…ルウちゃんのお菓子…」
「明日あげるって」
「1秒後が明日になれば良いのに」
「無茶言うなよ…」
菓子のことになるとやけに子供っぽくなると言うか、年相応な反応になると言うか。菓子がないと生きていけないんじゃないかって思ってしまう程の菓子好きが舞那ちゃんにもらえなかったからと俺にしがみついてくる。
「ん…?んあれ…??」
「ひぅ…っ?!」
肩にに額をすりすりしてくる愁を撫でていたら、急にすん、と鼻を動かし出す。擽ったいってば。
何、どうしたの。俺なんか変な臭いする?
「ルウちゃんシャンプーとか変えた?花みたいな匂い」
「変えてねぇけど…」
花…花ってなんだ。そんな匂い俺の家のシャンプーには…、あ。あーー…。
あれか。入浴剤の匂いまだ残ってたのか。そんなに強いかなぁ…。俺はもう匂わないんだけど、匂いに慣れちまったのかな。
「兄貴が昨日職場の人にもらったらしい入浴剤使った」
「入浴剤かぁ…。流星さんまた面白いのもらったな」
「疲労回復に効くらしくて」
「嗚呼…成る程ね」
保温効果とかもあるようで、冬場にはぴったりな入浴剤。先輩と話していたら入浴剤の話になって試しにひとつもらったんだとか。実際、少し体軽くなったらしく、兄貴が朝帰りに薬局で買ってくるとるんるんだった。
「ルウちゃんこう言う感じの香水合いそうだね。何個かあげよっか?」
「使わないと思うから良い」
「ルウちゃんはちょっとお洒落に興味を向けた方が…。ルウちゃんらしいけどね」
涼のとか、愁の香水の匂いは好き。別に香水のにおいが嫌いって訳じゃない。
でも、俺自身は使う必要ないかなぁって。絶対もらっても俺三日坊主で付けんの忘れる。臭いって言われたら考えるけど今んとこそんなこと言われてないから香水は良いや。
「あー…。マジで良い匂い」
「…っぁぅ…、そんなに嗅ぐな」
「ルウちゃんが良い匂いなのが悪い」
首に鼻を当てられ、愁の鼻息が当たってぶるり、と身震いする。
匂いを嗅ぐのはお前の勝手だけどさ、そんなに嗅がれると恥ずかしい。
「…あの2人って本当に付き合ってたことないんですか?」
「聞くな、俺に聞くな千歳ちゃん。あれが2人にとっては普通の距離なんだ。そう言う目で見るから混乱する。小動物のじゃれ合いだと思いなさい」
「何故か無駄に説得力がある」
「俺はもう慣れたから」
「嗚呼…」
俺らの隣でこそこそと舞那ちゃんと琉生が話し、琉生が舞那ちゃんに何かを教える。
その内容を俺と愁が知ることはなかった。聞けば2人揃って企業秘密とか言って教えてくれなかった。
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