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涼の手に大きな袋が3つ。その中身は俺の服であったり、涼の服であったり、お揃いの服って感じに色々と。
涼はと言えば良い服が買えたのか機嫌がよく、周りに音符が飛び交っている。
「昴流に似合う服が一杯あって。地元以外の店を見んのも良いな」
「…自分の服は良いの?」
どうやら上機嫌になってる理由の、涼が気に入ったものは、服は服でも俺の服ならしい。自分の服はどうした。
「俺の服よりはー…、昴流の服選ぶ方が楽しいかな。俺が着る服なんてデザイン似たようなもんだし。俺ここにいたら凄ぇ昴流の服買ってしまいそう」
「え…」
俺が半着せ替え人形化するのは涼が楽しいんなら構わない。
けど、涼が持ってる袋の中身の何着かは俺の服で、全部涼に買ってもらったもの。俺が払おうとしたんだけどいつの間にか払ってもらってて。
今回だけじゃなくて、涼に買ってもらったものは何個もあるから、これ以上俺の分を払ってもらうのは申し訳ない。
「俺、自分で買うから…涼に悪い」
「俺が好きで買ってるようなもんだから。俺の服買ってんのとそう変わらないし気にしないで?」
「でも…」
「んー…昴流が俺の誕生日に頑張ってくれたの嬉しかったからそのお礼だと思って?」
お礼だなんて。涼の誕生日を祝ったことに対して涼自身がそんなのする必要ないのに。
「…じゃあ、来年の俺の誕生日で返してくれたら良いから。ほら、これでチャラ。…な?」
来年の涼の誕生日。
プレゼントでってことだよな。それでも返し足りない位な気も…否、絶対足りない。俺1回で返しきれない位にもらってる、記憶が正しかったら。
「良いの良いの。俺に甘えて?」
そうは言っても、やっぱり値段が値段だろう。服だからどれもそれなりに良い値がする…と思う。涼が服を選んでる隣で値札見たりしてたら万単位のがあってくらりときたことが今までに何度かあったから。
そう言ったら「俺がやりたくてやってるから」って返ってきて、そんな感じの会話を数分続けた後に、申し訳なく思いながらも涼に甘えることにした。
来年の誕生日は今年よりも頑張らないと。
「…ありがと」
「ふふ、来年楽しみにしてるね」
「んぅ…っ」
頬にふにゅりと柔らかい感触。良く知ってる涼の唇の柔らかさだ。
そう、唇。
「ばか…っ!!!」
「っぐ…」
情報整理が追い付いた瞬間、俺の拳は涼の横腹目掛け飛び出す。ちゃんと軽めで殴った。そこまで強くはしてない。
外なのに…!俺恥ずかしいから止めてって言ってるのに!!ここデパートだしみ、見られたかも…。何かに潜りたい。
愁にされんのは大丈夫。兄貴もスキンシップ程度に時々してくるけどそれも人前でされても特に気にならない。
でも、それは恋人じゃないから。涼にされるキスとは違うって言うか…。
決して涼にされるのが嫌って訳ではなくて、好きだから。恋人として好きだからこそ、人前でされるのは恥ずかしいし、周りの視線を気にしてしまう。
「ばか…!ばーーか…!」
「あん…、昴流ごめんって。待って、逃げないで?」
我ながらに餓鬼っぽい暴言を吐き、歩くスピードを速める。涼もそれにつられて速足になり、俺を追いかけ、キスしたことを謝ってくる。
怒ってる訳じゃない。嫌だった訳じゃない。でもごめん、俺涼みたいにオープンに出来ねぇから。俺の心臓が落ち着くまで涼から逃げんの今回も許して。
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