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永遠と続く言い合いと、秒単位で数字が変わる電子時計。3人の間に入る隙がないまま、時計は何度も表示を変え、それを眺めるだけで何もしない状態が長く続いたせいで覚めそうだった目がまた重たくなる。
涼ともっといたいけどこの眠気には抗えそうにないので、そろそろ寝たいと言う意を込めて涼の服を引っ張った。
そうしたら言い合いがピタリと止んで、涼の甘い匂いに包まれて。安心感から更に眠たくなってしまって、涼の肩に顔を埋めた。
「…ふふ、昴流甘えたさん。眠たい?今日はもう疲れちゃった?」
「…ん…」
「そっか。朝も眠たそうだったもんね」
涼にトントンって背中を叩かれて余計に睡魔に誘われる。
「お休み、昴流」
かくんかくん頭を揺らす俺を涼がくすりと笑って、ふにゅりと額に柔らかい感触。それの正体が分かるよりも前に俺の体は傾いた。
布団をかけられ、その上から子供を寝かしつける時みたいに軽く叩かれて。規則的なそれに瞼もそれに合わせて重たくなってきて、完全に閉じてしまいそうになった時、それは止まってしまう。
動きが止まって、布団の上に乗っていた涼の手の感覚も次第に消えていく。それが涼の手が離れていくということだと、働いていない頭でも分かって、行って欲しくないと涼の腕に抱きついた。
「…天使ちゃんが寂しいみたいだからもう俺仕事しなくていっか」
「いやいや、しろよ。ここでお前が寝て後々困ることになる俺らのことを考えろよ」
「…じゃあお前は滅多に甘えない天使が甘えてんのを聞かねぇのか?」
「……昴流を優先するに決まってんだろ」
「奇遇だな、そこに関しては俺も同意見だ」
「否、お2人さん。こんなところで意気投合しないで。昴流のことになると仲がいいなもう」
「はぁ?こんな奴と仲が良い訳無いだろ」
「吉柳お前減点な」
「うっそぉ?!!え、そこも息ぴったりになっちゃうの??止めて本当ごめんなさい。減点だけは止めてください」
3人がまた何か言ってる。3人が言い合ってるのを見るのは好き。職権濫用発言をして大人気ない涼も、たまに素になってる愁も、2人に色々言われてる琉生も。琉生は言ったら怒られそうだから言わないけど。仲が悪そうで、そうでもない。
でも、眠たいせいで3人の会話を楽しんで聞けるほど頭は機能してなくて、それをBGMに瞼が開いたり閉じたり。
段々とその間隔は均等ではなくなっていき、閉じている方が長くなり、3人の声が遠くなっていく。
「りょお…」
「ん?…嗚呼…ごめんね。眠たいんだったな。昴流が寝るまで側にいてあげるから寝て良いよ」
「ん…」
「ふふ、かわい…。お休み、甘えたわんちゃん」
小さい声で呼んだのに気づいてくれて、2人の方に向けられていた声がこちらに向いて、ふわりと涼が笑う。
涼の顔が目に映ると、それだけで胸の辺りがぽかぽかして、そこで限界はやってきた。
「天使ちゃんは眠いのが限界に達したら甘えたになる…と。ふふ、いいこと知った」
「盛ったら殺すぞ」
「俺がそんな野蛮なことするわけないだろ?媚薬は使わしてもらうけどな。お前らの方こそ昴流に手出したら殺す。吉柳はついでに留年な」
「お前じゃねぇんだから寝てるときに手出さねぇよ」
「え、待って何で俺も入ってんの?しかも何で俺だけ留年プラスされんの??」
俺が寝た後で仲良くもまた3人が言い合いを始めたことなんて起きた後も俺が知ることはないんだろう。
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