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俺だけが浮いているような、そんな空気を醸し出しながら、乗るアトラクションを決めていく。まだ時間が早いのと平日ってのもあって待ち時間はそこまで長くならずに済みそうだ。
「最初はニューヨーク行く?」
「あー…、スパイダーマンか」
「そうそれ。俺絶叫系制覇したい」
「ニューヨーク…?」
「ん?…嗚呼、ニューヨークってエリアのことな?!マジのニューヨークには行かねぇぞ?」
ここからどうやってニューヨークに行こうとしているのか。2人の間では通じている話が俺には全くもって理解できず首を傾げる。それに気づいた琉生が慌ててパンフレットを俺に見せて、エリア名が書かれてるところを指さし、そこで疑問は解消される。何だエリア名か。吃驚した。
最初はそこのエリアにある無駄に長ったらしい名前のスパイダーマンのアトラクションに行くみたい。マップを見るにそこまで遠くにあるわけではない。人気なものは人が多くならない内に乗っていく作戦らしい。
「昴流ってジェットコースター乗れるか?」
「……兄貴の車がジェットコースターだから多分乗れる」
「ぶは…っ流星さんの車色んな意味で肝据わるもんなぁ」
「えっ、ジェットコースター…?そんなにバイオレンスな運転すんの?」
ジェットコースターと来たのにそれとは比較にならないほどのスピードで普通は走る車と比べるものだから琉生が目をぱちくりさせて。
まだその"普通の"感覚を持ってる琉生は兄貴のフリージェットコースターに乗ったことなかったなと思い出した。
バイオレンス…って言うか…。まぁある意味バイオレンスだわな。
「流星さん1人でカーレース始めるから」
「え、何それどう言うこと?」
「スピードがやばい」
「運転雑」
「ドライブテクがあるから余計に怖い」
「青信号だったらあんまスピード落としてくれない」
「でも歩行者とかいたらスピード落とすんだよね。否そこはずっとそうしろよって言いたくなる」
「ウィンカーもちゃんと出したりしてるのにな」
「スピード以外は問題ないんだけど、寧ろ丁寧なくらいなんだけどスピードが大問題」
俺と愁とで言えば出るわ出るわ兄貴の運転への愚痴。
「…何となく想像できたけどそれもそれで乗ってみたいな」
「止めておけ」
「これはマジで止めた方が良い」
冒険心から言ってるんだろうがそんな甘い気持ちで乗ったら本当に後悔する。たかがジェットコースターよりももしかしたら怖いかもしれないって乗った俺らは言えるくらいに怖いんだからな、兄貴の運転。だってそりゃあそうだろ。一般道路だからな…?!障害物大量にあるんだぞ…?!ジェットコースターと違ってレール敷かれてねぇから…!そんなスリル要らない。
今もいるけど兄貴の世代って高校生くらいの頃今よりも治安が悪くてギャングとか暴走族が多かったらしくて、兄貴のあの危ない運転はそこから来ているんだと思う。兄貴に昔暴走族だった説は否定されたけど、その交通規制が機能してなかった時代が原因なのは間違いない。
「ルイちゃん想像してみなよ、車やバイクを高速道路を走る車に匹敵する速さで乗り回すの。それで1番何が怖いかってドライブテクがプラスされてるところ。あそこまで来たらレーサーへの転職を勧めたくなる…。ほんと流星さんの為に1メートル間隔で信号つけて欲しい…」
「……俺が想像してたよりもやべぇ運転なんだな…俺乗るの止めとくわ」
「それが良い、マジで」
琉生の懸命な判断にコクコクと頭を縦に大きく振る。
「マジで」って言葉しか思い付かないくらいにそうした方が良い。知らない方が幸せってこのことだと思う。兄貴に車初めて乗せてもらったときあんな運転するとは思ってなくて油断してたから車恐怖症になるところだったもん。
兄貴その時「ちょっと飛ばすね」って言ってたけどあれはちょっとじゃない。かなりだ。兄貴のちょっとは信じたら痛い目見る。
「…あれ、でもそれって絶叫系お前ら本当に大丈夫か?車で怖いんだろ?」
「あれは現実で起こってることだから。レールなんてないから」
「それと比べたら易しいもんだよ」
「はは…、なるほどな。確かに色んな意味でスリル満天だよなそれ…」
そう、あくまで俺らが怖いのは事故りそうな兄貴の運転。スピードが怖いなら新幹線なんて乗れてない。ジェットコースターはレールを走って事故ることが無いわけで、その点は安心できる。だからきっと怖くない。
「や…っ、お、お落ちて…!!」
…とか言ってた少し前の自分。実際は無駄にリアルな演出のせいで兄貴の車とそう変わらず、レールが敷かれてるのも忘れて怖くて隣に座っていた愁を抱き締めてしまった。ボイス流れてたけどそんなの耳から耳へ通り抜けた。
どうせ遊びだからと舐めてかかったらこれだ。例え小さい子供も遊びに来るようなテーマパークのアトラクションだとしても、ちゃんとそれがどんなものなのか確認してから乗るべきだということをここで学んだ。
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