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「はに…、昴流明日椿先生の家に行くなら今日はもう早く帰って寝る?」
「…ん」
俺の名前を言い直して、聞かれたそれに頭を縦に揺らす。そうだな。明日涼の家に行くんなら今日一杯寝て、疲れとってにしよう。そうしないときっと向こうで寝てしまう。ここでお別れなのは残念だけど明日も会えるんだから今日は我慢してもう帰ろうかな。
「ばいばい涼。ちゃんと家で疲れ取ってね」
「ふふっ、はいはい。お休み天使ちゃん」
「お休み」
涼に小さく手を振って、涼に背を向け他の生徒が歩いている方向へ俺らも進む。
愁は今頃桂木さんにお土産をちゃんと渡せているだろうか。それともツンってしちゃって渡せないでいるんだろうか。また明日聞いてみよう。いつも弄られる仕返しだ。
「琉生は親迎えにくんの?」
「来る…予定だったんですけど忙しいらしくて今から電車ですね~」
「あー、じゃあ俺の車で送ってあげようか。結構もう暗いしさ」
「え゛っ」
「あの噂のジェットコースター。ありがとうございます是非」
2人の会話に驚きの声をあげたのは聞いていた俺。
そうだ、忘れてた。兄貴が迎えに来たってことは兄貴の車だ。行きと同じあれがまってる。しかも今は暗いって付録もある。要らないそんなスリル。流石に兄貴も夜だからスピード落としてくれるとは思う。思うけど。琉生、早まるな。ぜっったい電車の方が良い。俺は電車を断じて勧める。
「あ、あああ兄貴!!ちょ、マジで10キロ以上落として!!」
「そんなことしたら車止まるだろ」
「止まらないから兄貴!!ちゃんと60キロ未満にして!」
「言うて100も出てないじゃん。大丈夫だって。そこまで変わんねぇよ。嗚呼、ほら琉生が住んでる辺りに入ったら減速するからさ。あそこ何か知らねぇけど厳しいんだよな」
「それが普通なの!!」
予想はしてたけど、当たってほしくなかった1人カーレースの開催。泣きそう。無理、無理。
暗いからスピード落としてくれるよなって予想も当たってたっちゃあ当たってたけどそれでもまだ早い。琉生の腕にしがみついてないと泣いてしまいそうだ。
「良く今まで事故ってませんよね」
その琉生。何故か笑っていやがる。俺が怖がってる隣で笑っていやがる。涼にはあんなにびびってる癖に、なんでこう言うところでは肝が据わってるんだ。意味分かんない。馬鹿、あほ。裏切り者。
「俺らの世代ってあそこら辺じゃあ1番治安悪くて暴走族が多かった時代だからなぁ。その名残って言うかね。このんくらいの速さなら良くいるし目がそれで慣れちまっててこっちの方が逆に運転しやすいんだよ。それが分かってるからサツもゆるっゆる。まぁそれにちゃんと人通りが多いとこだったり、曲がり角良く見えねぇとことか道が狭いとこは規制に収まってるしな。んー……まあ周りに合わせたら速くなっちまうエリアがあんのよ」
「へー。…そうみたいだぞ?昴流」
「涼はこんなに速くないもん!!」
「椿先生東京生まれの東京育ちじゃん」
「こっちにいる方が長いし!」
「スグル達もこんな感じだぞ?」
「絶対兄貴程雑じゃない!」
涼の車が恋しい。涼もちょっと速い気もするけど兄貴みたいに酷くない。兄貴のは完全に黒だろ!
そうだ。明日から兄貴のこと元暴走族って呼んでやる。
「俺もう絶対兄貴の車乗らない…」
「ハニーちゃんとドライブできないの嫌だから落とさせてもらいます」
「残念、終わりか」
全然車が通ってない上に歩行者もいない見通しの良い道路だからそれを良いことにスピードを落としてくれない兄貴。耐えれなくなってそう言ったらあっさりと速度を落としてくれた。まだそれでも速いけどな。でもスピードはそれで許してやって「丁寧に」と付け足す。そうしたら先までの雑さはどこに言ったんだって位に別人の運転になって。できるなら最初っからすれば良いのにって思った。
後そこ。琉生は残念そうにしない。昨日あれだけジェットコースター乗っただろーが。
そっからは安全運転って言葉が似合わない兄貴の安全運転。言われてできるんなら毎回それでやって欲しい。
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