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昴流ならこう言わずにまず心配してくれたことに対して感謝するだろう。
俺だって迷惑に思った訳じゃない。テレビを見てた零が俺の小さな変化に気づいてくれたのが嬉しくもある。それでも、俺は零をはねのけるようなことしか言えない。
俺が昴流ほどじゃなくても少しでも素直でいれたのなら少しは変わっていたんだろうか。
そりゃあ今まで素直に何か言う回数なんて言ってきた嘘と比べたら少なすぎるくらいだけど、言えない訳ではない。
言わないといけないことかどうかの区別はできてて、そう思ったことはちゃんと言ってきた。
礼も、謝罪も、喜怒哀楽といった感情も。全部が全部嘘じゃあなくて。なのに今どうやればそう出来たのか分からなくて頭の中が真っ白だ。
「しゅーう。言わねぇと分からねぇぞ?」
「別に大したことじゃないから良い。…たださぁ、ほら。これ見てたら俺って"犯人"みてぇだなって」
零が心配してくれてるのを分かっていて笑って誤魔化して、逃げる。誤魔化しのつもりで自分で言っておいて本当にそうだなって納得してしまい、嘲笑が零れた。
「…お前ってさ頭良い癖に無駄な所に頭使う馬鹿って言われねぇ?」
「…馬鹿にしてんの?それ」
「まぁある意味な。ばァか」
灰皿に煙草を擦り付け、酒を飲むのも止めた零に馬鹿馬鹿と何度も言われる。そこまで馬鹿にされること俺言ってねぇと思う。ムカつく。
「…仕方ねぇなぁ」
「っうわ…?!」
ふぅ、と一息吐いて立ち上がった零によって軽々と持ち上げられた体。俺のことを馬鹿と言いまくってる零はそのまま寝室に向かった。そして、ドアを足で開け、ベットの前まで来たら、そこに俺を寝かせると零は覆い被さってきた。
「ゼロちゃん?」
「どうせお前『あいつも俺も嘘ばっかついてんな』とか思ってんだろ?お馬鹿な愁チャンに言うけど嘘にも種類ってのがあんだよ」
「は…?うん、それがどうしたの?」
あんな言葉だけで零は俺が思ったことを正確に当ててきた。が、1つだけ見当違いだ。嘘にも種類がある。そんなの言われなくても長い間嘘ばかりを吐いてきた俺が1番良く分かってる。
何を今更零は何を言い出すんだと、そう言う目で零を見たら「分かってねぇから言ってんだよ」ってまた馬鹿にされた。
「自分を守る為の嘘。こんなん誰だってやってる。違いがあるとしたら小さいもんかでかいもんか。まぁ、他には人を陥れる嘘とかもあんな。それからー……」
零が言うのはどれもこれも俺が吐いてきた嘘ばかり。零が言うことの意味も理解してる。なのに何で俺は馬鹿と言われたのか。全く持って理解できないし不服だ。
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