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「お前があれの犯人みてぇだなって言ったけどよ、まぁその犯人が言ってんのはこう言った部類の嘘だろ」
嗚呼、ほら。零も認めた。やっぱりそうなんじゃないか。なのに先は否定して。ますます意味が分からない。
「ほら、お前の嘘は糞憎たらしくて可愛いから全くの別物。俺お前がツンツンすんの嫌いじゃねぇし。猫みたいで可愛い」
「かわ…?」
「ごめんなぁ愁チャン。俺犬派じゃなくて猫派。ツンツンされてそっけねぇと思ったら素直に甘えてくんの最高に燃えんだろ?」
俺の嘘を「猫みたいで可愛い」と言うそいつ。予想もしてなかった発言に驚きを隠せない。
だって、可愛いって。
いつも肝心なところで正直になれなくて、そんなもの欠片もない俺の嘘、それが分かっているから吐いた後で気にしてしまうって言うのに、零はそれを「最高に燃える」って言葉で片付けた。
「だから別に気にすんなよ。俺お前のかわいー嘘気に入ってるから」
俺が気にしてるって何も言ってないのに零には伝わってたらしい。俺のことを愛おしそうに撫でる零の大きな手に安心感を覚えた。毎回そう。何故か零は俺の言いたいことを自分でも上手く伝えることができないのに分かってくれる。
「まぁそれに、ある意味素直になってくれてるからお前が何考えてんのかもちゃんと伝わってるからよ」
「…は?」
俺が素直。俺の記憶上零に突っかかりなしで素直に何か言えたの何てほんの数回くらいで、そう言われる程に言ってきた記憶はない。俺の記憶が正しければ。
俺がいつ、どこでそうだったのか。そんな視線を零に送れば「お前ってやっぱ馬鹿」って笑われた。何回目だよそれ。腹立つな。
「あからさまに嘘吐かれたって、俺には真逆のこと言ってるようにしか聞こえねぇっつーの。迎えに行った時だって『嬉しいゼロちゃん大好き!』って顔に書いてたぞ?」
「え、は…」
「先のも何か考えてんのを誤魔化したって感じだったしなぁ」
クツクツと笑いながら言われたそれに顔がひきつる。マジで俺馬鹿じゃん。零が嘘って分かる嘘を言っても本心がバレるだけって気づかない、とか。言われて初めてそうだったって納得してしまうとか。
「俺の猫属性な女王様は俺が好きなの隠しきれてねぇもんな。わんこレベルで好きになったの俺が初めてだから反応の仕方に困ってるとかそんな所だろ?」
「~~っんなんじゃねぇし!!」
「はいはい肯定な。可愛い愁チャン」
図星だ。もしかして零が俺のこと何も言わずとも分かってくれるんじゃなくて、俺が表情とか言葉に出しまくってんのか?これ。否、それでも零の洞察力はある方だろう。
このままじゃあ逆に墓穴をどんどん掘っていきかねない。これ以上はなにも言うまいと口を閉ざして無言を徹したらそれもそれで「可愛い」と笑われた。
「やっぱ愁チャン俺のにゃんこ」
「…」
「っ、う゛……、ちょ、愁足止めろ。マジでしぬ、壊死するから…!!!」
零の言い方に何か無償に腹が立って、膝で零の股間をグリグリと力任せに押し潰す。
俺が嫌で仕方なかったものを一言で解決した零は、俺が思っている以上に俺のことを見てくれているらしい。
でも、こうやって目を離したら調子に乗り出す俺様にはそれが嬉しかったことは言ってやらない。
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