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「ああぁ…修学旅行もう1回来い。と言うか時間戻れよ…」
「…それは無理だと思う」
朝、S.H.R.が終わって直ぐ。涼が教室から出ていった瞬間に撃沈した琉生。
今回は涼に弄られたからではなく、琉生の手に握られてるプリントのせい。それには『三者面談のお知らせ』って最初に書かれてる。
「諦めて怒られなよルイちゃん」
「嫌だ無理、マジで俺は明日から不登校になる」
「えー…」
たかが三者面談で琉生がこんなにも気を沈ませてるのは、そこに来るであろう噂のお母様の存在のせいらしい。
親と教師が対談する、則ち親に知られたくない部分を教師…涼に暴露されると言うこと。琉生が言うにはお母様が成績のことを絶対涼に聞くだろうからそれを語られた日には地獄を見るとのことで。…お疲れ様としか俺は言えない。
「紙出さずに知らぬ存ぜぬで通せば?俺は椿と話すつもりねぇし~」
「…それが通用すると思うか?」
「バレた日には絞られるだろうね」
「だろォ?!!昴流助けて…俺はもう駄目だ…」
「ふあ…っ?」
机に伏せてしまってる琉生をよしよしと撫でていたら、急にばっ、と抱きつかれた。助けてって…そんなこの世の終わりみたいな声で言わなくても…。つか言われても俺はフォローできないぞ?俺が琉生の面談に参加出来る訳ないんだから。
「…んと…、頑張れ…?その…お母さんもお前のこと思って言ってるんだろうし…」
「言い方に一々刺があるんだよなぁ…。椿先生程にではないけど怖い」
琉生のお母様は毒舌?みたい。身長180cm超してるのに俺を抱き締めてる琉生は凄く小さく見える。ハムスターだ。琉生にはあんなに大きい頬袋ないけどハムスターみたいだ。
ハムスター琉生が幾ら俺に抱きついて助けを求めようとも俺にはどうすることもできない案件で、ただ頑張れと応援しながら頭を撫でることしか出来ない。
「昴流は?流星さんが来んの?」
「俺?…どうだろ」
多分、俺の場合は面談来てくれるとしたら兄貴なんだけど、最近兄貴忙しそうだし面談無理かも。そうなったらどうなるんだろう三者面談って。ただの俺と涼との対談になっちゃうよね。
何時でも良いから時間を作ってくださいってことになるのかな、それとも電話で…?
兄貴に今後の予定聞いた後で無理そうなら涼にどうすれば良いのか聞いてみよう。
「懐かしいな。1年の参観日の時、流星さん見てホストがいる!ってその時思ったんだよな」
「あー…そんなホストっぽかった…?」
「凄ぇホスト」
「あれでしょ、あの時グレーのシャツだったじゃん。それに黒のネクタイ合わせてたし…色的に、ほら」
「んー…?」
その時の兄貴の服装を思い出してみる。…まぁ、意識してみたらそれっぽく見えなくも…ないかなぁ…?
あれからもう1年以上経ってるのか。兄貴が化学の時間に首捻らせてたっけ。そんで周期表丸暗記してる変な特技も披露して。この特技は隠し芸として使われているんだろうか。それともお蔵入りになってるんだろうか。兄貴だからどうせ後者か。
「俺も兄貴が欲しかった…」
「…一人っ子なのか?」
「姉貴と妹がいる」
「うわ~ぽいね。そんで姉の立場がめっちゃ強いんでしょ?」
「分かる?俺の家は女が強いんだよ。ちなみに俺立場一番下な、底辺。妹に命令されんの」
「つっら」
…なるほど。俺の兄弟は男しかいないけど、逆に女ばかりになったらそんなことが起こるのか。女の人って強い。学校では涼に弄られて、家ではお母さんとお姉さんと妹さん。…ハムスターっぽいから弄られやすいのかな、琉生って。
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