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その日の夜。バイトから帰って来たら行く前には帰ってなかった兄貴が帰ってきていて、帰ってきたのはつい先だったのか風呂に入らず着崩したスーツのままで俺が作っておいていた晩飯をテレビを見ながら食べているところだった。
「兄貴、ただいま」
「ん…?お帰り昴流」
荷物を部屋に置いて、洗面所でちゃんと手を洗った後で兄貴の隣に座って一緒にテレビを見る。
「晩飯足りる?」
「大丈夫。ありがとハニーちゃん。今日も美味しかった」
「ん…っ」
完食し、酒の代わりに炭酸水を飲んでる兄貴にお腹一杯になったか聞いたら笑顔で、頬へのキスと一緒にそう答えた。今日時間なくてちょっと少なめになっちゃったんだけど、それなら良かった。
「兄貴林檎いる?」
「マジで?あんの?いる」
「ん、剥いてくる」
デザートを食べるか聞いたら即答。甘いのが好きな兄貴は果物も好きだから家には果物がない日はない。
台所に行って常温で置いてあった林檎を1つ取り出して、皮を剥いて食べやすい大きさに切る。それを皿に移して、まな板と包丁を洗ってからフォークと一緒に兄貴のところに持っていった。
「うま」
「そうなの?」
「今回のは当り。ハニーちゃんもあーん」
「んむ…っ」
俺の口元に運ばれた林檎。涼にされたら意識してしまうんだけれど、兄貴にされるのは家族だし、そこまで気にすることなく普通に食べれた。
「甘いな」
「だろ?やっぱ季節だな」
林檎は蜜がしっかり入ってて甘く、けれどさっぱりとした味で甘党ではない俺でも美味しく食べれた。食べ物の旬ってのを実感するなぁ…。旬の食べ物って言えば今は冬だから白菜とかかなぁ。明日は白菜で煮物にしよう。果物は家にあるの切らしたら次は苺とかかな後オレンジ。
「…あ…、兄貴、忘れてた」
「んー?どうした?」
「えっと…何処に置いたっけ…」
シャクシャクと林檎と頬張りながらテレビを見て、兄貴と会話を交わしている時、そう言えば何か言わないといけないことあったような、とふと何かが頭を過り、三者面談の案内の存在を思い出した。
プリントが入ってある学校に持っていってるリュックを探しに自室に行き、兄貴に鞄から取り出したそれを渡す。
「三者面談?」
「らしい。…あ、忙しいなら行けなくても話せるように涼に相談するから」
「あー、大丈夫大丈夫。面談の時間位作れるから。ほら俺超優秀だから」
「……上の人に信頼されてるってこと?」
「えっ、何でそんなに悩んだの」
「ご、ごめん…」
俺の中で兄貴は、ちょっとお馬鹿なところがあるずぼらってイメージが強くて働きが優秀?何かドラマとかであるあのテキパキした感じ?が兄貴からは想像ができなくて言葉に悩んでしまった。決して兄貴が仕事が全くできないポンコツって言ってるんじゃない。
「昴流の中で俺はその程度の人間なんだな…」
「う…」
メソメソと泣き真似する兄貴。頷いた方が良かったのかな…何かごめん…。俺兄貴が仕事してるとこ見たことないし、俺自身が職場ってどんな感じなのか分からねぇから、社会人の優秀ってピンとこなかったって言うか…。
「あ、う…あに、き…ごめんね…?」
泣き真似をする兄貴にどう言うことを言ったら良いのか分からず、ほっぺをつんつんしたり、兄貴の髪をくるくるしてみたり、はたまた腕を頬同様つついてみたり。色んなことをしてみて、兄貴の反応を窺いながら謝る。
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