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教室で兄貴に引っ付かれながら三者面談が始まるまでの時間を過ごす。愁は今日は早くからバイトを入れてるらしく、ついさっき帰っていってしまった。
教室にはもう他の人たちは帰ってしまって俺と琉生と兄貴の3人。…嗚呼、後それと多分今日面談するのであろう生徒が数名。
「なぁ、まだ面談しねぇの?」
「俺らは後40分先でしょ」
「暇過ぎる」
「兄貴が早く来過ぎるから」
「それはもう完全に時計見てなかったわ」
「何の為に腕時計つけてるんだよ…」
待ち時間が暇らしく、革靴でリズム良く床を叩く兄貴。ここら辺兄貴だなぁって思う。マイペースって言うか、時間にルーズって言うか。一回帰って、休憩してから来れば丁度良い時間帯だっただろうに。
「琉生は俺らよりも前?後?」
「後です」
「んじゃあもっと暇だな」
「それが全く暇じゃないんですよね。差し迫る死の宣告に今心臓破裂しそうですよ」
「はは、何そんなに成績悪いの?」
琉生の方も相変わらずで顔に現実逃避したいって書いてる。琉生が成績を兄貴に話したら「俺より大分上じゃん」って兄貴は笑う。それって笑い事じゃないけど。
「まぁ、それに。親父の方が怖いだろうしなぁ…。大丈夫、親父の説教を何度と受けた俺が生きてるから琉生も何とかなる」
「えっ、昴流のお父さんって怖い…のか?想像つかないですね」
兄貴の言うことに俺も琉生と一緒になって目を丸くさせる。父さんと言えば、いつも優しい口調で怒ったところは俺が聞いてきたなかでは1回しかない。…その1回がまぁ、ちょっと。怖かったけど。兄貴が言うほど怖いとは思わない。
「あれ、昴流に話してなかったっけ…。親父元ヤンだからくっっっそ怖いぞ?」
「えっ」
「…あれ見たら逃げた方が良いぞ。あの冷めきった目。親父表情抜け落ちてん時多いけど、"無の上を行く無"?…ダークホールに吸い込まれていく気分になるぞ、あれは」
「今思い出しても恐ろしい」と兄貴が身震いする。兄貴の言う『怖い』はどうやら俺が感じた父さんの説教時の怖さとは比べ物にならないらしい。
それよりも驚いたのが父さんが昔不良だったってこと。父さんからそんな貫禄は感じないけどなぁ…。父さんが不良…髪染めてる姿想像してみたけど似合わない。ピアスの穴が何個かあるのは知ってるけど、つけてるところも見たことないからイメージが湧かない。
「まぁ、だから大丈夫だ琉生。親父以上に怖い説教する親なんて見たことねぇーー…」
「それは私のことでしょうか流星」
「ヒィっ?!」
兄貴の言葉を遮り、教室に響いたその声。
兄貴とは違ってキッチリとスーツを着ているその人は先まで話題にされてた人だった。
「え、父さん…?」
「…ん?ふふ、メール抜きにしたら2週間ぶりですね。お土産美味しかったですよ」
「んぅ…」
何でここにいるのか分からないけど、今、ここに父さんがいるのは俺の頭から伝わる父さんの手の温もりが証明していた。
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