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「親父さっさと行くなよな」
そこに遅れてやってきた兄さん。こんなところで家族が集合だ。
何で2人もここに…?否、来んなって意味じゃなくて。ただ兄貴だけが来るのかとばかり思ってた。それに仕事だって…。
「休みくらい一応ありますし、少し開けるくらい大丈夫です。…それに、流星が保護者代表なのは心配なので」
「どういう意味だよ」
「そのまんまの意味だろ」
兄貴だけじゃあ頼りなかったらしく、それに兄貴が反論しているのはさておいて。体育祭は来てくれたけど、来ない日が殆どで来る方が珍しい2人が時間を割いてたかが面談に来てくれたのが嬉しかった。普通、この歳になったら琉生みたいに来てほしくないって思うのだろうけど。俺は小中とそんなことを経験してこなかったせいか、ここに親がいることに胸が温かくなる。
「昴流は嫌だったでしょうか。年頃の子は抵抗があると聞きますが…」
「…来てくれないよりは、多い方が良い」
「そうですか」
普段は無表情な父さんの顔に笑顔が浮かぶ。ここで涼が父さんと兄貴が不器用な人だと言っていたのをふと思い出した。
今まで学校の行事は全て行かなかったこと。それは確かに忙しいのもあったのかもしれないけど、父さんが言った『抵抗があるのではないか』って気持ちからなのもあったんだと思う。俺を家族として、大切に思っているからこそ俺の気持ちを考えると行けなくて。涼の言う通り不器用な人だ。そんなの直接確かめてくれたら良かったのに。
でも、それは俺も同じ。俺らは極端に会話が少なすぎた。互いに距離を起きすぎてしまった。それを今こうして縮めることが出来て、2人とこうして誤解も解け、話せているのは俺らの間に涼がいてくれたからだ。きっと、俺は涼に言われなければ本当のこと、気づかないままだった。涼に感謝しないといけないことまた増えた。
「…昴流?どうしました?」
「……す、き…」
ぎゅうって抱き締めて、父さんには1度も言ったことがない気がするそれを口にした。
好き。大好き。辛いこと一杯あって、何度も逃げたくなった。嫌いになれたら楽なのになれなかった。
「…ええ、私も愛してます」
「んに…っ」
父さんの手が前髪を掻き分けて、露になった額に唇が落ちる。
その後に体に広がっていく温かさ。涼にされるのとはその感じは違うけど、でも父さんにされるのも心地良かった。
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