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一番最初の人の面談の時間が近づいてきたところで廊下に移動することになり、教室を出た。そこで1つ、気づいたことがある。
「何かと他の生徒に見られてますね」
…そう。家族勢揃いで来ているのなんて俺のところだけだからかなり目立ってる。
俺、父母で来る保護者2人の所もいるんだろうなって思ってたのに殆どの生徒が母親だけだ。2人保護者がいても珍しいのに3人しかも2人は兄弟。母親が多い中で男ばかり。目立っても無理はない。
「三者面談って何人で来ても良いもんじゃねぇの?」
「や、良いとは思いますけど基本的には保護者1人なんじゃないですか…?中学高校でありませんでした?」
「俺はなかったなーほら馬鹿校だったから。そんなんしなくても分かりきってるだろ?」
「俺の時は電話で済ましてもらってたな」
「三者面談というものは実質初めてなので。人数を涼君に聞いておけば良かったですね」
「嗚呼、なるほど」
俺のとこだけやけに人数が多いのは全員が三者面談初心者のせいなのもあるらしい。
一回り離れた兄貴と兄さんは保護者の立場とも言えなくはなく、父さんは正真正銘の保護者、父親だ。つまり保護者が3人いるような状態。"三者"面談なのだから時間が合えば行く、って考えだったんだろう、3人とも。人数に限りがないから今回は偶々3人全員がここに揃ってしまった。
「今まで行けなかった分も行かなければと思うと…。人数のことなんて頭になかったですね」
「んに…」
「ふ…、昴流が喜んでくれたことですし、目立つのはもうこの際構いませんね」
ぷにぷにって俺の頬を摘まんで父さんが遊ぶ。
父さんの俺を見る愛おしそうな目を見てると俺も目立ってることなんてどうでも良くなった。
「三者面談って家族が来てくれて喜ぶようなイベントじゃない気がするんですけど。このほのぼのした空気が羨ましい…」
それを見ていた琉生が両目を手で覆ってそんなことを口にした。それに「俺のとこもこうだったらな」って願望が込められているように聞こえてならない。
…嗚呼、そうか。琉生のお母さん怖いんだっけ…。
「琉生君は学校に親が来るのに抵抗が?」
「抵抗しかないですよ…怒られんの分かってんだから…」
「何琉生。成績だけじゃなくて教室の窓ガラス割ったり学校の中でバイク走らせたりしたの?」
「する訳ないでしょ?!!」
兄貴の親に怒られるようなことの基準って何なんだろう。不良校ってそれが普通だったのかな。…それもそれでどうだかなぁ…。時代の差を感じる。
これがジェネレーションギャップって奴?
俺等ほど家族同士で仲が良ければ怒られてないかもしれない、って続けて琉生は言ったけれど俺だって怒られたこと何回かあるからな。父さん怖かったし…。もう怒られないようにしようって誓ったくらいだ。
でも親が怒るのってやっぱり、琉生のこと思っての所もあるんだろうから、例え琉生のお母さんが怖くても、琉生が頑張ってるとこ、良い所知ったら褒めてくれると思うけどな。怒るってことはその分大切に思ってくれてるんだろうし…?
…俺が今まで聞いた中では褒められてたことは無かったのはスルーする。
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