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「くす、本当に仲が良いんですね。…琉生も昴流君みたいだったら可愛気が少しはあったかしら?図体だけはでかくなって中身は雛。どうせなら真逆が良かったわぁ」
「バスケでタッパ必要だから良いんだよ…!!」
「本当、そういうところだけはあんた父さんに似たわよね」
琉生はお父さん似…?みたい。楓さんの言い方からしてお父さんも背が高いのかな。
「昴流君こんな役に立たない雛だけどこれからも宜しくしてあげてね。…嗚呼、もし不良に絡まれたらこいつを囮にしても良いから」
「えっ」
「母さん?!!」
「少しは立ち向かってみろって言ってんのよ雛」
お母さん、とんでもないことを言い出した。獅子は子を谷に落とす…みたいな。否、雛ってライオンよりも小さいからそれ以上に酷なんじゃ…。
今までの会話でお母さんが家でどんな感じか何となく想像できる。お母さんが強い家って怖いんだなぁ…って琉生を見てて思った。
「囮にはしませんが…、こちらこそよろしくお願いします」
ちゃんともしもの時琉生を生け贄にするのは否定して、楓さんに頭を下げる。誰かの親に挨拶するなんて滅多にないことだしちょっと緊張したのはここだけの話。
「…もう、凄く良い子。こんな子にあんた最初ビビってたの?話かけ方に悩む前に実行しなさいよ。だから雛なのよ。殴られても何度も立ち上がって話しかけに行く位の度胸は持つのねこの雛」
「止めてもう雛ネタ言わないで」
雛をネタに過去の、俺が知らないことを暴露していく楓さん。聞いた感じでは、家族の耳に入ってくるほど俺と愁にどう話しかけたら良いかで昔悩んでたみたい?…嗚呼、だからあんなオドオドしてたのか。あれには良い噂のない俺らへの恐怖だけが原因だと思っていたけどそうじゃなくて、俺らにどう声をかけたら良いか分からなかったのもあったんだな。今ならそれを聞くと琉生らしいって思う。
…でも、楓さん。流石にサンドバッグになってでも話しかけようとする人はいないんじゃないだろうか。俺だって話しかけようと思わない。例え琉生が雛でもハムスターでもなく、百獣の王であったとしても。そこまでされたら逃げるんじゃないか…?
…まぁ、つまりのところはその位、自分の身長のでかさと同じくらいの度胸を持てってことなんだろう。…なくてもそこが琉生らしいと思うけどな。
「もう嫌だ。俺家に帰りたい。面談したくない」
「わ…」
楓さんにいびられて、ガラスのハートを割られてしまった琉生が俺に抱きついて「助けて」って言うみたいに俺の胸にグリグリしてくる。
面談…。ここに涼が加わるのかなぁ。琉生生きて帰れるのかな。心配になってきた。
けど、俺が言えることはかわりなく、「頑張れ」だけだ。
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