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楓さんによる琉生いじりはその後も続き、今にも泣きだしそうなハムスターを撫でているとあっと言う間に時間は過ぎ、俺の前の人の面談が終わり、俺らの番になった。琉生が「行かないで」って助けを求める目をしていたけど俺だけ残るわけにも行かないから頑張れって意味を込めて小さくガッツポーズを送ってみた。
教室に入ると即席で席を作りましたって感じに、机が向かい合うように並べられていた。
「お待たせ致しました。どうぞお掛けください」
「昴流どこに座る?真ん中?俺と真ん中座る?」
「えっはしっこ…」
「端は駄目だろ…お前の話なんだから」
「流星はとりあえず端ですね」
「だから俺なんかした?」
教室に入って直ぐに、どこに座るかって相談が始まる。
俺は保護者側と分ける為に端を選ぼうとしたんだけどそれは兄さんに却下されてしまった。それから兄貴が端なのは決定事項らしい。
相談した結果、兄貴、父さん、俺、兄さんの順番になった。
三者面談なのに席決めを先にするって…。4人になるとこう言うのもあるのか。そう考えると2・3人がベストだな、やっぱり。
「では改めて。狼城君のクラスの担任をしております椿涼です。この度はお忙しい中お越しいただきありがとうございます」
「父の北斗です」
「……兄の彗です。こちらこそこのような場を設けてくださりありがとうございます」
まず始めに挨拶から始まり、涼が頭を下げるたのを合図に俺らも頭を下げる。兄さんは早くも笑いそうになっている。まさかここまで涼が教師してるとは思ってなかったらしい。…まぁ、俺も涼のあの変わり様は初めて見たとき吃驚したもんなぁ。それが友人相手なら俺以上のものを感じるところもあるだろう。
父さんは……無表情だから何考えてるのか分からない。
「初めに学校生活の方ですが…、1年の頃は不安定、と言いますか。あまり笑わない子でしたが最近はお友達と楽しそうに過ごしいるように見えます」
「そうですか。良かったです」
涼が言ったことに父さんが声音だけでも分かるくらいに安堵を見せる。
それは俺が荒れてたのが原因なんだと思う。多分、勉強ができてるとか、進路のこととか、そんなことよりも父さんが聞きたかったのはこのことなんだろう。
それを最初に持ってきた涼も、良く父さんを見ていると思う。それは教師じゃなくて"涼"だからこそ出来たことだ。
「成績の方は問題ありませんね。英語の方がずば抜けて良く。この間の模試も全国的に見ても上位に入ってまして、こちらから言うことは何もありません。これからもこの調子で頑張って下さい」
「え、何昴流お前天才じゃね?彗よりも良いんじゃねぇの?」
「お前みたいにならなくて今心底ホッとした」
「んだよそれ」
涼がファイルから一枚の紙と前の模試の結果のコピーを取り出して、俺らに見せる。模試は兄貴結果知ってるから、兄さんと父さん用かな。もう1枚は今までのテスト結果の一覧。今回のだけじゃなくて今までのを一緒にしてるのも兄さんと父さんに気を遣ってだろうか。面倒面倒とか良いながら涼はちゃんと周りを見てる。
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