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「頑張りましたね」
「…っ」
何故か兄貴と兄さんが言い合いをし始めた中、父さんは遅れて言葉を発し、俺の頭を撫でてきた。
頑張ったと、初めて言われた気がする。今までずっと欲しかった、父さんからのその言葉。それが嬉しかった。高校生にもなって褒められただけでそう思うとか、餓鬼っぽいと自分でも思うけど父さんから言われるのはまた別物だったと言うか。
「だから私から言うことは進路のことくらいなのですが…、狼城君はまだ決まってないみたいで」
「あらら、決めれてなかったのか。お兄ちゃんのとこで働く?」
「止めろ、お前が甘やかして昴流の分も全部するのが目に見えてる。…昴流頼むからこいつのところで働くことだけは止めてくれよ」
「…えっ、う、うん」
兄貴の誘いは俺が小学生扱いを受けてるような理由で兄さんに却下される。しかも俺に念を押すほど兄貴の就職先に勤めるのはおすすめできないらしい。
…いや、兄貴だって流石に…。俺進学せずに就職すんの選んでもその時19だぞ?そこまで甘やかされたりしないだろ。つか兄貴1人で2人分の仕事できる訳ねぇ。
「昴流が選ぶ道なら就職でも進学でもどちらでも反対しませんよ。…私も彗の言うことには賛成しますが」
「何で先から俺の当たり強いの??」
ずっといじめられっぱなしな兄貴。父さんにまでそんなことを言われるなんて。ちょっと可哀想…?な気もしなくはないけど、仲が良いとも言える…のかな…???
「教師の立場としては狼城君は学力も申し分ないですし、進学して欲しいですね。…ただ、興味のある学部がないようで、狼城君はそこで進学と就職のどちらにしようか悩んでるみたいで…。学力の偏りが殆どない分確かに難しい選択かもしれませんね」
「昴流好きな科目とかねぇの?」
「…美術と技術は嫌い」
「嫌いのはあるのな」
そりゃあ、俺にだって苦手なものくらいある。特別得意なのはないけど。
美術は俺絵の才能とかないから苦痛だし、技術はパソコン使ったりしないから何したら良いのか分からなくて、こう言うことは得意な愁に教えてもらわないと出来ない。つーか実技全部愁にしてもらった。この2科目は本当に無理。嫌い。
大嫌い。
「苦手なものがあるなら好きなものも探していれば見つかるかもしれませんね。以前私と狼城君で気になるものを見つけていこうと言う話はしたのですが、ご家族の間でもこの件は相談していただければなと。オープンキャンパスに行くのも有りかと。もしかしたら学校の雰囲気で絞れるかもしれませんからね。一言言っていただければこちらで資料は用意致しますので」
「ありがとうございます」
「んじゃあまた今度大学見学に行くか」
「…ん、ごめん…」
3人とも忙しいだろうに俺が決めれないからそう言うことに時間を割いてもらわないといけなくなって、少し申し訳なく思った。オープンキャンパスってそんなすぐに終わるようなものじゃないだろうし…。
「謝るようなことじゃねぇだろ。凄ぇ大事な選択なんだから適当にすんなよ?」
「…うん」
「大学見学が連日続きになっても毎日休んであげるから」
「えっ」
「お前は仕事しろ低学歴」
「クビになったら雇ってくれるところなんてありませんよ」
「もう俺慣れてきたからな」
また2人から辛辣な言葉を放たれてしまう兄貴。
俺もそれは…遠慮しようかな。嗚呼、別に兄貴が馬鹿だからって訳ではなくて、兄貴が俺のために暇を作ってくれるのはありがたいんだけども、そのせいで仕事の方に支障が出るのは駄目だ。
オープンキャンパスなんて俺1人でもいざって時には行ける。…多分。迷子にならない限りだけど。だからついてきてくれるのは本当に余裕があって、時間を作れたときだけで良いかな。
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