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「…お兄さん、狼城君が困ってますよ」
「…っ、ちょ目が怖い。離れる、離れるから!」
涼に声をかけられバッと俺から離れる兄貴。兄貴の言う目の怖さは兄貴の体が影になって俺には見ることができなかった。また俺が涼の顔を見たときにはもうすっかり教師の顔に戻ってて。また涼が大魔王様になってる瞬間を見逃した。
「…さてと、それでは他にないようでしたら面談は終わりと言うことで宜しいでしょうか」
「はい、ありがとうございました」
ここで涼に面談の終わりを切り出され、終了。向かい合って互いにお辞儀をして涼から渡されたプリントとかの荷物を片付ける。
「…嗚呼、彗てめぇ次学校外で会った時覚悟しとけよ?」
…してるときに、涼が脱教師モードで珈琲を飲みながら兄さんにそう告げた。
最初辺りで兄さんが笑いをこらえてたのはバレバレだったらしい。兄さんは仕方ねぇだろって顔で訴えてる。…俺も、うん…そう思う。今回は許してあげなよ涼。
「昴流が言うならお咎め無しにしようかな」
「ふぇ…っ?」
「その代わり後4人残ってるから昴流補充」
そういう意を込めてちょいちょいって涼の袖を引っ張る。そうしたら涼が飲んでた珈琲を机において俺に抱きついてきた。俺の肩に額をあて、すりすりとしてくる涼。完全に教師モードから抜けてしまっている。休憩中の涼とは逆に俺は慌ただしく周りをキョロキョロ。そ、外の人に見られてない…よね?窓とか透明ガラスじゃないし…。否、でも人影くらいなら見える…筈。
「りょ…見られたら…」
「大丈夫大丈夫。彗と身長同じくらいだから誤魔化せる」
「でも…っ」
涼の言うことも一理あり、問題解決。…と思ったがすぐに別の問題を見つけてしまった。
ここには俺と涼だけじゃなくて…。気まずさから父さんたちの方を首を動かしてちらりと窺う。
が、兄貴も、兄さんも、父さんも。全員後ろの掲示物を眺めているだけでこっちを全く気にしてなくて、無駄な心配に終わる。気がすんだら帰るぞ、って感じに。…誰か止めてくれる人いても良いじゃん。
「回復。また明日、天使ちゃん」
「ん…っ」
数分間密着していた涼と俺の体の間に隙間ができる。と、涼が少し腰を屈めて両頬に手を添えてきて、涼の唇が、俺のに軽く触れた。
数回それをして離れ、顔が見えるようになると満足そうな表情を浮かべる涼がいた。
回復?元気が出た?らしい涼は俺の鞄を取ってきてくれて、それ手渡される。
「ありがと…」
「ふふ、またね。"狼城君"」
俺が鞄を受け取ったら涼のスイッチが切り替わる。涼の表情はもう教師ので、俺の頭をポンポンって撫でると父さんたちに改めて挨拶しに行った。
「昴流、もう良いんですか?」
「…ん」
「なら帰りますか。それでは涼君、失礼します」
「ええ、はい。ありがとうございました」
掲示物を眺めていた父さんも涼に軽く会釈をし返して教室の出入り口の方へと足を進める。
けれどドアを開け、教室から出る直前父さんの足はピタリと止まってしまう。
「父さん…?」
「親父?忘れ物?」
父さんの動きに俺だけじゃなくて兄貴と兄さんもきょとんとして首を傾げる。
父さんは相変わらずなポーカーフェイスで「どうですかね」と曖昧に答え、俺らに確認してくるから先に外で待つように告げて教室の奥に戻ってしまった。
父さんを言われた通り廊下で待って1分弱。思っていたよりも早く父さんが教室から出てきた。
「親父早かったな」
「ええ、すぐに見つかりました。"涼君が"手伝ってくれたので」
「…あー、そゆことな」
「親父も親父で性格悪ィよな」
「何のことか分かりませんね」
「…??」
何故か強調された涼の名前。それ以外は違和感を感じるところなんてないのに、兄貴と兄さんは俺とは別の意味を父さんの言葉の中から受け取ったらしい。俺には理解できない方向へ話が変わる。…涼が忘れ物見つけるの手伝っただけなんじゃねぇの…?
俺だけ仲間外れで、どう言うことか3人に聞いても父さんの「そのままの意味」って返答で終わり。3人の中では通じてる裏の意味は教えてくれなかった。
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