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「…え、何。何なのあんたたち…」
「来ちゃいました~」
「あ、うんありがとう…?」
桐華さんへの贈り物探し開始から早1週間。ギリギリで見つけれて、卒業式の今日に何とか間に合った。
式が始まる40分ほど前。並ぶ時間を入れたら30分前に桐華さんが待機してる教室に顔を出すと、来ると思っていなかったらしい桐華さんの目が驚きで丸くなる。
「にゃんこは何、病気…?」
「俺が1秒でも黒になんのはレアなんだからね~」
桐華さんが何よりも驚いてたのは愁の髪。あの、俺の記憶の中では一度も染め直したことがない愁が黒に近い焦げ茶の髪になってる。本人曰「他人の式ではちゃんとする」とのこと。でもスプレーらしいから水に当たったら染料溶けちゃうんだって。染髪にも種類かあるらしい。
「…無理してる?」
「んぁ…?あー。大丈夫。式なんて一瞬だしな。終わったらすぐ洗い流す」
「そう」
そう聞いて安心した。愁は地の色にしたがらない。自分の容姿にコンプレックスを抱いてる愁は、1つでも自分だけのものが欲しくて派手な色、珍しい色で髪を染める。涼も分かってくれてるからそれもあってあんま注意はしてなかったりする。やるときと言ったらもう式前だけの形だけのものだけ。
その愁がちょっとの間だけでも自分から染め直そうとしたんだから、愁も愁で桐華さんに感謝してるところはあるってことなのかな、きっと。
「それで?舞那ちゃんはいつも通りだけど、わんことにゃんこが珍しく正装で来てどうしたの?」
「あ、それはですね~先輩が後ろ向いて座ってくれたら分かります」
「…?何よ後ろ向いてって」
「良いから良いから」
質問するも舞那ちゃんに答えを先送りにされ、不思議そうにしながらも桐華さんは俺らに背を向けてくれた。
「…で?次は?」
「あっ、リラックスして大丈夫ですよ~。…それじゃあ魔咲先輩後はよろしくお願いしますね」
「ん」
「えっ、『よろしく』…?本当に何…?!」
桐華さんが座ったところで俺らは愁にバトンタッチ。
愁が珍しくも菓子袋と化してない鞄の中から綺麗に手入れ整理されてる箱を取り出して、それを開けてピンを取り出して、桐華さんの髪を手際よく纏め、上げていく。
俺らが桐華さんに贈るもの。それは愁らしいの一言に尽きるのだが、愁の案で髪留めに決まって、折角だからそれでヘアアレンジを加えて、それで卒業式に出てもらおうってことになった。
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