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「な?兄貴頼むから教えて」
「……面倒臭ぇ。ネット使え」
「兄貴ィ…!」
揺さぶられてる涼だがその表情は言葉にしている通りに面倒臭そうだ。決して意地悪と言うわけではなく、本当に。「休みの日くらい休ませろ」って顔に書いてある。
「兄貴が頼りなんだって…!数学だけだから!後は大丈夫だったから!」
「何でどいつもこいつも俺の担当外科目を持ってくんだよ…」
「あーにーきー!」
「止めろ酔う。分かった、分かったから」
ゆっさゆっさ揺さぶられる涼は、ついに臣の勢いに負けたのかそれを止めさせて教師から渡されたというプリントを見せるよう促した。
そうしたら臣の表情が一転。ぱあぁっと明るくなって、リュックサックから分厚いプリントを涼に差し出した。
「うわ…何だよこれ…。数Ⅱ・Bの全範囲じゃねぇか…マジかよお前…」
涼はプリントの中身をパラパラと見ていたが、どんどんその顔色は暗くなっていき最後まで見ると頭を抱えた。
春休み中に2年の数学全て教えるって中々にベビーだな。中身を見てない俺でも涼の言葉だけでプリントが完成するのか不安になってくる。
「な?!助けて12枚!12枚埋めたら終わりだから!」
「……お前選択理系なんて馬鹿なことしてねぇよな?」
「数Ⅲ取るわけねぇじゃん」
「…今回だけだからな」
すっっげぇ嫌そうに。次回が来るなと書かれた顔には、俺が見た中で堂々と首位に立てる程にしたくないという本音が現れていた。選択科目が分かっていながら聞いたのは、次教えることはもうないかどうか確認を取るためだったような気がしてならない。
「兄貴ィ!!大好き!ありがと!マジでありがと!!!」
例え嫌々でも頷いてくれた涼に臣が抱きつく。俺が見る2人は喧嘩してることが多くて、それも兄弟の形ではあると思うけど、これはこれで頼りにされてるお兄ちゃんみたいで微笑ましい。
「良いか、次はねぇぞ」
「とか言って~、ヤバくなったらまた助けてくれるんだろ?」
「見捨てるに決まってんだろ。馬鹿に付き合ってたらキリがねぇ」
口ではこう言ってるけどきっと臣がピンチになったら救いの手を差し伸べるのだと思う。何だかんだ言って涼は優しくて、そんでもって臣と真さんの兄だ。
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