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似てる…って言うかマジでそっくり。全然わからなかった。普段の臣とは違いすぎたから余計に。
へぇ…顔も似てるけど、声音とか口調とか、似せようと思ったら似せれるのか。兄弟だなぁ…。
「兄貴は寝てるよ。寝室運んでも起きねぇんだから無理させたかもなぁ…」
「あ…」
言われてテーブルを見てみると、そこに突っ伏してた筈の涼がいない。臣が運んだ…涼を運んだ…お姫様だっこしかないよな?それともおんぶ?おんぶは難しいからどう考えたってお姫様だっこだよな??涼がされる側…何か新鮮で可愛いな。見とけば良かった。
「…ま、兄貴昔っから睡眠時間短ぇから寝れるときに寝かせとかないとな」
臣も臣で兄を心配する弟だな。これなのに2人がいざ対面すると喧嘩が多いんだもんな。これが喧嘩するほど仲が良いって奴か。
「そんなことより昴流ちゃん今日のご飯は?」
「お米と味噌汁と、煮物と天ぷら」
「うわぁ、豪華。兄貴毎日食べてるんだからほんと贅沢…俺こっちに引っ越したい~」
多いかなぁとは思ったんだけど、2人は食べれるだろうし、煮物は少なめにするから大丈夫だろう。
俺が作った飯を食べるためだけに引っ越したいと言ってくれるのは、そのくらい気に入ってくれたってことだから嬉しくはあるんだけど、そんな理由で地元から離れることを果たして聖人さんや薫さんが許してくれるのか。俺は許してくれないに1票。
「何か俺手伝えんのある?」
「んー…、…あ、天ぷら野菜切れてるから衣つけて欲しい」
「衣?はいはい」
煮物と味噌汁を同時進行していて手が離せないから天ぷらの方は臣に任せることにした。多少の家事は薫さんが帰宅するのが遅い時にしているようなのでいつぞやの調理実習みたいなことにはならず、ぽいぽいと手際よく衣がつけられていく。
こう言うとき涼の家って全体的に広いから便利だ。2人で横に並んでも全然狭く感じない。俺の家は調理台がここのより小さいから兄貴とするとき2人で使ってるとものが溢れて困るときがあるんだよな。
「…何で臣まだいんの」
天ぷらが揚げ終わって、全部できたから涼を起こしに行こうとしていた丁度良いタイミングで寝室から寝起きです、って顔をした涼が出てきた。
臣を見るなりしたその問いは決して邪魔だとか、そう言う意味ではないんだと思う。寝起きだから状況整理ができてないだけ?
「今7時半で今から晩飯。兄貴は食べる前に顔洗ってこいよ」
「…嗚呼」
臣もそれを分かっているから言葉通りの意味をとって「いたら悪いのかよ」とかなんとか言って喧嘩に発展するようなことは言わない。2人って喋れば喧嘩ってイメージがあるけど案外そうでもない。互いに言い合いになっても良いところと駄目なところって線引きができてるんだと思う。言い換えれば喧嘩に見えるそれも、相手を理解してるからこそできるもので、そこはやはり兄弟…家族だ。
「臣も一緒に作った訳?」
「天ぷらをちょっとだけなー」
洗面所から戻ってきた涼は髪をあげてすっきりとしていて、食卓に料理を臣と並べているのを見てそう聞いてきた。
臣が頷くと涼は料理と臣を交互に見た。その行動に涼が食べれるものが限られてることを思い出す。
好き嫌いは特にないけど誰かが作ったものだったり、店で販売されてるものでも第三者経由で渡ってきた食べ物に抵抗あり。味に関係なく吐いてしまう位酷いときもあるらしい。それでも涼の親戚の人に聞いた話だったり、涼から教えてもらったことを踏まえると食べれるものは増えてきていると思う。
…なんだけど、普通に食べれるようになったものもあれば一口目は躊躇ってから食べるものもあって。雪路さんの家で集まった時に出された食事に進んでてをつけてなかったからもしかしたら涼の中でこの天ぷらグレーゾンに入ってるんじゃないかなぁって不安になる。
こればかりは仕方のないことで、涼だって悪気があって食べれない訳じゃないんだし、もし無理そうなら俺の煮物と天ぷらを交換した方が良いかもしれない。
「あー…、まさか無理そう?」
「…?嗚呼否…、お前のなら食べれる」
俺と同じことを考えていたらしい臣がそう聞くと、それを涼は否定し、臣を一緒になって胸を撫で下ろした。良かった。家族なら大丈夫みたい。
「ただお前って料理出来たんだなと思って」
「言うてそんなに出来ねぇよ?母さんと姉貴両方が帰り遅かったりいなかったりする時にたまにするくらいだからさ」
「へぇ」
嗚呼、何だ。不自然に視線をいったり来たりさせてたのはただ臣が料理を、しかも揚げ物を手伝ってくれたのが信じられなかっただけなのか。…そりゃあ、涼は俺と一緒にするとき以外で料理作ろうとしないもんな。
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