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迎えた翌日。臣がサプライズで行きたいからと琉生に試合を見に行くことは告げず、涼の車で送ってもらう。見に行くだけなのは申し訳ないから、一応差し入れってことで疲労回復に良いらしい?レモンの蜂蜜漬けを初めて作ってみた。
涼と別れて、るんるんな臣と体育館に向かう。…と、休みなのにやけに自転車が生徒用の駐輪場に止まっていることに気づく。開放してるって涼言ってたから補習とかに出てる人のだろうか。
「やばい、ほんと格好良かった」
「ね!普段と全然違うもんね」
今から帰るんだろうか、体育館に行く途中で女子とすれ違った。その時に聞こえた会話に臣と一緒になって首を傾げる。一体何の話なのか。女子ってたまに途中だけを聞くと理解不能な会話をしてる。
「…昴流ちゃん、素朴な疑問なんだけどバスケ部って部員多いの?」
「琉生から聞いた感じではそんな大規模な部活じゃなかったと思う…」
「あー…じゃああれ部員じゃないのか」
臣の視線の先には体育館…の入り口。遠くからでもそこに人が何人か集まってるのが分かる。あの自転車はあそこにいる人たちのもあったのか。入り口前にいるんだから部員ではなく、俺らと同じように試合を見に来た人の可能性が高い。…応援に来る人結構いるってそんなにうちのバスケ部有名だったのかなぁ。俺琉生に聞くまで活躍とか全然知らなかったのに。
「そんな昴流ちゃんのとこのバスケ部って人気なの?」
「全国優勝したとは聞いたけど…」
「それ凄ぇガチなとこじゃん…俺が想像してたのと全然違ぇ。マジかよ…」
『もえ』の話をされたらついていけないけど、バスケに関しては臣と話が合う。そりゃあな、琉生って涼に弄られてるイメージが強いから、例えバスケ馬鹿でもその実力が全国レベルとか思わねぇじゃん。
「吉柳せんぱーい!頑張って~!」
「スティールスティール!」
体育館が目の前まで来ると、やっと入り口に集まっていた人の会話が聞き取れるようになる。その声援の中で、確かに聞こえた聞き覚えのある単語。
「…『吉柳』?」
「え、吉柳って琉生ちゃー……」
「切り替えが鈍ぇんだよ!さっさとしろ!!」
「琉生のことだよな」とその名前の本人を互いに確認しあってるその途中で、声援をかき消す程の、力強い声が体育館の外にいても聞こえてきた。
これまた聞き覚えのある、けれど聞いたこともないその荒らげた声にもしかして、とも思い、そうあって欲しくないとも願いながら、体育館の中をそろーっと覗いてみると。
「周り見て動けっつってんだろーが1年!!」
ハムスターの皮を捨てやがった名前通りの"龍"の姿がそこにあった。
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