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誰おま状態の琉生が、本物の琉生だと分かり、あの豹変っぷりに頭がついてきた頃、やっと差し入れを持ってきたことを思い出した。
そうだ、そうだった。俺琉生に、って持ってきたんだった。
「琉生、これ」
「んー?…お、レモンじゃん。くれんの?」
「差し入れ」
「サンキュ。俺レモン結構好き」
琉生にタッパーに入ったそれを渡すと、受けとるなり開けて爪楊枝で刺して食べだす。どうやら本当に好きらしく、蜂蜜につけたとはいっても酸味が残るレモンをぱくぱくと口の中に入れていく。差し入れ色んな人に渡されてたのにこうやって食べてくれるのは嬉しい。
「琉生何か一杯差し入れもらってなかった?」
「あー…先の?貰ってねぇよ?知らない奴からもらってても返すのに困るからさ」
「ここだけの話、会話そこまでしたことない奴にイベントとか関係なしにもらうのって怖いじゃん?」って小声で言われ、良くも悪くも琉生らしい理由で笑ってしまった。確かにな。マネージャーでもなく、友好関係も特にない人から差し入れって、しかもタオルとかならまだしも食べ物ならまず警戒してしまうよな。
「タオルは前受け取ってたときもあったんだけどな、誰かわからないから返そうにも返せないし、それでどんどん家に溜まってったから困ってな」
「それは笑う」
「タオルで困るって新しい」
「まさか俺もタオルが多すぎて困る日が来るとか思ってなかった」
なるほど、大体想像できた。そんなことがあってから差し入れは見知った人以外からは極力受け取らないようにしてる、と。それでもこうやって渡しに来る人がいるんだから琉生って…モテるんだなぁ。
「でも渡したくなる気持ちも分かる。琉生ちゃんバスケしてるの糞萌えた…」
「もえ…?」
「驚きすぎて最初はそれどころじゃなかったけどね。イケメン過ぎて…俺写真撮っとけば良かったぁ…そんで姉貴とこの萌を共有して…」
「…昴流何語か分かるか?」
「んーと…椿家の言葉?」
「嗚呼…通りで分からない訳だ」
臣の言う『もえ』ってのは『腐ってる』って奴だったような気もするけど、椿家で通じてるんだから椿家の言葉でもまぁ強ち間違ってはないよな。
「琉生ちゃん今日は練習中試合もう終わり?」
「先したとこと夕方にもう1回」
「ほんと?写真撮って良い?もっと欲言えば動画撮りたい」
「おー…?何も面白くねぇと思うけどしたいならどうぞ…?」
「ありがと!!」
許可をもらえると「今のうちに充電しとこ」と非常用バッテリーを取りだし、携帯に接続する。これだけ動画を撮るだけで上機嫌になるなんて、これも『もえ』が絡んでるからだろうか。
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