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最終的に試合は76対54で琉生のチームの方の勝ち。この後はミーティングとかするらしく、昼みたいに休憩時間があまりないようなので琉生に一言言って帰ることにした。琉生が涼を視界にいれると龍から縮こまったハムスターに一瞬で変貌を遂げていた。試合中にそうならなかったのは集中して気づいていなかったんだろう。俺らが見に来たことも試合が終わってからじゃないと気づかなかったくらいだし。俺としてはずっとそのハムスターなままでいて欲しいんだけど。そっちの方が可愛いし。
今日は涼の家には泊まらないで、俺の家まで送ってもらった。ずっと涼の家に泊まるのもどうかと思うし、兄貴との時間も大切にしたいから?
「はにぃちゃぁん!」
「うわっ?!」
鍵を開け、ドアを開けるなりそいつは飛び付いてきた。躊躇いがなかった。そりゃあ開けるのなんて俺だって見当つくかもしれないけどさ、一応父さんと兄さんも鍵持ってるんだから誰か確認くらいはしようよ。それにもしかしたらピッキングされてた可能性だってすっげぇ低いけどあるわけなんだから。
「駄犬ですね」
「本人か確認する前に飛び付く辺りな」
兄貴に抱き締められながらもリビングに移動すると、呆れている父さんと兄さんがいた。何だ今日は集まってたのか。それなら言ってくれたら良かったのに。
「…言ってなかった?ごめん」
うん、分かってた。兄貴ってそういう奴だって。
「お前に伝達頼んだら昴流に行き届かねぇな」
「昴流がいるだろうと言っていたから早めに仕事切り上げてきたんですがねぇ」
「俺それは『多分』って言ったし!」
どうやら兄貴は俺が涼のところに行ってることも伝え忘れていたようで。…嗚呼、でも俺も琉生の試合見てから帰るっていってなかったから俺にも非はあるな。
「ごめん兄貴。琉生が試合するって言うから見てたら遅くなった」
「琉生?え、何試合あったの?」
「練習試合」
「うそーん…。俺見に行けば良かった」
遅くなった理由を伝えると、しゅーんって兄貴の耳が下がる。応援に行きたかったようで、これも言っておけば良かったな。時間を巻き戻すことは出来ないから俺の伝えれる範囲で試合のことを兄貴に教える。
「へー…琉生ってそんな上手いの?」
「全国優勝したって言ってた」
「全国」
「あと涼がバスケ業界では天才とかなんとか」
「天才」
俺が言ったことを復唱する兄貴の目は点。俺と同じ反応をしている兄貴の隣で「へー」「上手なんですね」と変わらぬトーンで感想を述べている2人。この2人が驚いているところを俺片手で数えるほどしか見たことがないと思う。つーか、父さんの方は驚いたことあったっけ?あまり表情が変わらないからなぁ…。
「お前んとこのバスケ部ってそんなことになってたの…つか琉生マジか…衝撃的過ぎる。あの琉生がバスケ強いのか…?」
その言い方は失礼にも聞こえるかもしれないが、俺も思ったことだから分かる。図体に反して誰かと対立したり争ったりするのを避ける琉生が、格闘技ではないものの、相手と争うことにはかわりないスポーツで人が変わったように敵陣に突っ込んでいくんだから。
「琉生がハムスターから龍になってた」
「はぁ…っ?"ウロボロス"ってか?……マジで?」
「凄ぇ叫んでたしオーラがヤバかった」
「俺の可愛い琉生が…」
琉生の豹変っぷりを事細かに兄貴に教えたら、兄貴撃沈。驚くのと笑うのは見たけどそれらでもなくショックを受けているのを見るのは兄貴が初めてだ。反応の仕方って一人一人で違うんだなぁ。
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