アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
告白から立ち直れていない兄貴には「俺の可愛い琉生が…」と頭を抱えて、動く気配を見せない。あの琉生が、ってショックは俺も分からなくはないんだけど、これだけ落ち込むだなんて思ってなかった。お兄ちゃんの目で見たらあんなに図体でかくても可愛く映ってたんだろうなぁ。
「兄貴、別にずっとそうなった訳じゃねぇんだし…」
「ずっとってもうそれ反抗期じゃん。無理辛い」
「ちょ、兄貴…」
「昴流は反抗期来んなよ。俺泣く」
俺を抱き締めてはメソメソと泣き真似をしながらそんなことを言ってきた。俺も琉生も反抗期って歳じゃないんだけどなぁ。
「駄犬、泣き真似止めろ」
「そんなこと言わずともお前より酷くなる人はいませんよ」
「否俺反抗したことなかったよな?」
「昴流と母さんにだけだろ?」
「私たちの言うことを素直に聞いていた記憶がないのですが」
「…うえーん、2人にいじめられるよ昴流~」
泣き真似の悪化。相変わらず2人は兄貴に厳しい。だけどごめん兄貴。すっげぇわざとらしい、心に傷ひとつついてなさそうな泣き真似をされても俺は対応に困る。とりあえず頭は撫でてあげるけど。
ぽんぽんと兄貴の柔らかい髪の毛を撫でながら辺りを見渡す。炭酸水とコーヒーのペットボトル、お菓子が机の上にあり、俺が帰ってくるまでこれを食べていたのだろうと推測する。もう晩飯時だが、まだちゃんとしたものは食べてなかったのだろうか。
「兄貴晩飯は?」
「まだ」
「今から食べ行くかって話をしてたんだよ。昴流何かリクエストあるか?」
「んー…」
どうやら今日は外食のようだ。悪いことしたな、俺がもうちょい早めに帰ってきてら作れてたのに。
食べたい物…、そうだなぁ。温かいものなのは絶対。温かいもので思い付いたのは…、
「鍋物?」
「お、良いな。確か近くにあっただろ?」
「嗚呼…ありましたね。ここから車で10分弱くらいじゃないですか?ではそこにしますか」
俺の一言で食べるものが決まり、店も一瞬で決まる。広げていたものを片付けると家から出るべく玄関に向かった。
「親父、車の鍵」
「お前は私に運転させようとしませんね。一応私の車なんですが」
兄さんが父さんに車の鍵をねだるも、父さんは嫌そうに首を振る。言い方からして2人一緒に移動するときは父さんは運転させてもらえないっぽい。その理由ってもしかしなくても面談の時言ってたやつか。
「頼むから、俺がいるときは大人しく座っててくれ」
「まるで人を老人扱いですね。出来ますよ運転くらい。失礼な」
「そういう意味じゃねぇから。昴流の隣に座っててくれ」
兄さんの思いは届かない。俺の悲痛な叫びが兄貴に全く届かなかったのと一緒で。そりゃあ本人達は"普通"に運転してるつもりだもんな。それが俺らは怖いんだよ。
兄さんが数分かけて父さんを説得し、父さんから車の鍵を預かる。…が、そこでまたひとつ問題が発生。
「は?何で俺が助手席?昴流の隣が良い」
俺と父さんが後部座席へ。結果として前に行かなければいけなくなった兄貴が異議を申し立てた。これも面談の時を思い出すなぁ。あのときもどこに座るかで揉めたな。
「なぁ、親父変わって」
「もう座ったので嫌です。面倒臭い」
「そんなに後ろ行きてぇなら昴流と変わってもらえば?」
「だから俺はハニーちゃんの隣が良いんだって。それ意味がねぇだろ」
「餓鬼かお前は」
兄貴はどうやっても俺の隣が良いらしい。車で10分ってたいした距離じゃないんだから誰が隣でも良いじゃんか。…って、そんなことを言ったら「移動中寂しい」って返された。寂しいと来たか。うーん…。でも後部座席に座れるのは2人までだぞ。
結局、説得の末店で俺と兄貴が隣に座るって話に纏まった。兄貴と俺の2人じゃあ席で悩むことなんてないのにな。まぁこれはこれで家族って感じがして楽しいから良いんだけどな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
760 / 1113