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「随分と遅かったな」
リビングに行くと、父さんと兄さんがソファに寛いでテレビを見ていた。リビングに電気がついてるのを前見たのはかなり昔のことだったのような気がする。
「昴流顔赤くないか?逆上せた?」
「大丈夫」
「脱水症状でても困るしな…、水飲め」
兄さんが立ち上がってキッチンの方に向かう。家のキッチンは広さが十分にあって少し低めだ。俺らの身長では合わないから母様に合わせたんだと思う。冷蔵庫も縦長ってよりは横長。棚は高くまであるけど上段は何も入れられてない。
「ほら。水分補給ちゃんとしねぇと駄目だぞ?」
「ん、ありがと」
兄さんに水が入ったコップを渡され、こくりと喉を動かす。風呂で温まった体にはこの冷たさが美味しく感じる。
「ハニーちゃん。俺にもちょーうだい」
「あ、うん。はい」
「ありがとー」
半分飲んだところで兄貴に渡す。残っていた水を飲み干し、兄さんにおかわりを強請る兄貴であったが「自分で入れろ」と一蹴された。
「けち」と文句を言う兄貴を適当にあしらって兄さんはソファに寛ぎ直し動く気配がなくなってしまった。渋々兄貴がキッチンに行っていたのがそれはそれで面白い。
「あ 、この女優可愛い。昴流には負けるけど」
4人ソファに並んでテレビを見ていると、ドラマに出てきたヒロインと思われる人を兄貴が指差しそう言う。俺の方がって比べられても反応に困るんだが。その人は確か、最近出始めた人だった気がする。ふんわり系って言うよりはキリッ、ってした人。
…そう言えば兄貴の好みの人って俺知らないなぁ。口を開けば「ハニー」「愁」「琉生」「弟」でそういった類いの話題は一切ない。
「兄貴こういう人が好きなの?」
「えー…可愛いとは思うけど好きではない。昴流は大好きだよ?」
ほら、やっぱり。どうやっても弟愛に行くっていうか。俺も兄貴は好きだけどさ、まだ20代だし流石に兄貴だってそういう話題の1つや2つ…。
「兄貴どんな人が好きなの」
「タイプの人~?好きになった人がタイプなんじゃね?」
駄目だこりゃ。兄貴は兄貴だった。
「付き合った人もしかしていない…?」
「それはある。高校ん時とか」
あるにはあったのか。てことはその時はまだタイプってのがあったったことで。…何でこんなに弟大好き!な人になっちゃったんだろう。
「や、でもお前らほど好きではなかったし…気づいたら友達に戻ってた?」
「えぇ…」
突っ込みどころがありすぎて、逆に突っ込む気力が失せた。好きだと思ってたらそうではなかったってこと??兄貴に恋愛感情って存在しない気がしてきた。
「良いの良いの。別に恋人なんかいなくても可愛い弟3人がいれば俺は十分」
「そ、そう…??」
それは嬉しいような、勿体ないような…。兄貴絶対モテる筈なのに弟100%だなんて。けど兄貴がそれで良いっていうなら俺はもう言えることがない。弟以上に好きな人兄貴にできるのかなぁ…。無理そう。
…あ、そうだ。兄さん。兄さんはちゃんとまともな答えを出してくれるよね、きっと。
そんな期待を込めて兄さんにも「好きなタイプは何?」って兄貴と同じ質問をしてみた。
「…?嗚呼…昴流は好きだぞ?」
…嗚呼、もう。あんたもか。
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