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「兄貴狭い」
「3人分しか無かったんだもん」
「それでも狭い」
時間ももう大分遅くを回り、寝ることにしたんだけど車の座席の次はどこで寝るかで3人が揉めだした。
俺が自分の部屋で寝るっていったら兄貴がじゃあ一緒に寝るって言って。そうしたら今度は兄さんがシングルに2人は狭くて俺が可哀想だ。父さんがそれなら自分のは広めだからそこで寝れば良いと言い出し。俺1人完全に蚊帳の外状態。それで結局俺に結論を求めるんだからそれなら全員一緒に寝れば良いじゃんって答えて冒頭に至る。
4人一緒に寝れるベットなんてなかったからリビングに敷布団を敷いて寝ることになったんだが、そこで問題が発生。敷布団が3人分しか無かった。でも俺が華奢だしどうにでもなるだろって、俺的には抗議したい理由で俺が真ん中で寝ることで解決。
3人分を引っ付けただけだし狭いのは仕方ないんだが、そう感じるのは兄貴が引っ付いてくるせいでもあると思う。広さが欲しくて父さんのほうにずりずりって逃げてみる。が、兄貴がついてくるから狭くなっただけだった。
まぁ、でもいっか。こんな風に寝れることなんて滅多にないし、これはこれで楽しいから。普通ベットで寝るところなのに態々敷布団を敷いて、皆で引っ付いて。いる場所は家なんだけど、お泊まり会?旅行に行ってるみたい。
「ふふ…っ」
「…っ、?」
その感情に任せて父さんを抱き締めるって言う兄貴の真似をしてみる。あれだ、川の字?みたいな。川にしては隙間がないけれども。寝るには狭いけど、この狭さも今日くらいは良いかもな。
「…これは、私も彗を抱き締めなければならないんでしょうか」
「は?!止めてくれよ親父…するんなら昴流にしてくれ」
「私もお前を抱き締めたいとは…」
「む…」
父さんと兄さんはノリが悪かった。まぁ、もう兄さんは大人だもんな。しかももうすぐで30。その年の子供を抱き締めたいとも、その年で親を抱き締めたいとも思わない…よなぁ。
「ん…?嗚呼、手か?」
だから俺が代わりに手を伸ばして兄さんの手を握った。何で手なのかって、2人抱き締めれるほど俺腕長くねぇもん。
3人の温もりを感じれるようになって、満足。微妙に体温が違うから3人いるって良く分かる。家族全員で寝れるって俺にとってはそれだけで凄く幸せな時間で、そこに3人の存在が強くあると幸福感以外にも安心感とか、楽しい気持ちとか、そう言うプラスなもので胸の中が埋め尽くされる。
「眠いですか?」
「んー…っ」
胸がぽかぽかとして、そのせいで段々うとうととしだす。暖かくなってきた春に眠気が誘われるのと似たような気分だ。
俺が寝かかっているのに気づいた父さんの手が頬に触れる。その手は、いつもと変わらず優しさで包まれていて。
「くす…、おやすみなさい昴流」
「ン…、おやす、み…」
父さんの手に擦り寄ったらクスリと笑うのが聞こえ、額でリップ音が鳴った。
兄貴や兄さんが何か言っているのも聞こえたけど、完全に覚えているのはここまでで、意識は薄れていき、真っ暗になった。
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