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DVDを見ることが決まり、一度マンションに寄ってもらって服を着替えてから4人でレンタルショップに行った。
ギャグ系のものからSF、アニメーションまで色々と。面白そうだと思えば籠に入れて、3・4本入ったところで会計に持っていった。レジで籠を渡すとき、店員にギョッとした目で見られた。それは多分家族4人の、しかも男しかいないのが珍しかったんだろう。
家に帰ってからはもう永遠と映画。スピーカーあるし、暗幕あるしで映画館さながらのクオリティだった。そのせいもあって夢中になってしまって、終わったら次の、それも終わったら次のって具合にどんどんDVDのケースが開けられていく。俺テレビって長時間見てると眠くなるんだけど、今日はあまり眠くならなかった。寧ろ楽しい?家族全員で一日中ゆっくりできる日なんて滅多にないから余計にそう思ったんだと思う。
全部見終わったらもう真っ暗になってた。作っても良いんだけれど、折角4人でいるんだから晩飯は昨日と同じで外食になった。…あ、今日はマンションに帰るつもりだから兄貴に酒は飲ませない。兄貴も仕事あるんだし。
「昴流、忘れ物は?」
「多分ない」
「そうか。あったら言えよ?探しとくから」
「ん」
そして、あっという間に時間が経って、気づけばもう車がマンションの前に止まっていた。1日とちょっと。短い時間だったけれど、それでも楽しい時間だった。
「また戻ってこいよ。次は…クク、ゾンビもの見るか?」
「えっや、やだ…っ」
「嘘だよ嘘」
兄さんの意地悪な提案にビクリと思わず体が震える。プチ映画館みたいなあそこでゾンビ見るとか無理。雪路さんとこで怖かったのに俺そんなの見れない。俺が苦手だって分かっててそれをチョイスしてきたんだから酷い。ドS。
「じゃあな、お休み」
「お休みなさい」
「ん、お休み」
「流星、お前は昴流に迷惑かけんなよ」
「いつもかけてねぇし。ねー、ハニーちゃん」
「う、うん…?」
「疑問系止めて」
ぽんぽんって2人から頭を撫でられて、挨拶を交わすと車を降りる。兄貴が降りる途中兄さんに注意を受けるもそれを否定し俺に同意を求めてきたがそれの返答に困ってしまった。
迷惑…って程じゃないんだけど風呂出たときは裸族だし、ご飯作ってるとき摘み食いするし、朝お気に入りのサングラスやらネクタイやらがないって慌ただしい時あるし…まぁドタバタしてるって言うか何て言うか…。そこは兄貴らしいし、俺も不満を覚えてる訳ではないから大丈夫…?だ。うん、大丈夫。
ドアを閉めると、また加速しだした車。小さくなっていく2人を乗せたその影を見送ってから俺らもマンション内へと入っていった。
「昴流向こうについてっても良かったんだぞ?まだ春休みあるんだし。…今から行く?」
「んー、でも兄貴明日仕事じゃん。朝御飯と弁当作らないと」
「ふふ…、そっか。ありがとな」
兄貴に「戻る?」って聞かれるが、俺はそれに横に首を振る。
兄貴に言ったことも理由の1つだけど、断った理由はもう1つ。俺は兄貴といるこの家が好きだから。あ、父さんと兄さんといるのが嫌、とかあっちの家がまだ嫌いって訳じゃないんだけど。昨日と今日、この短い時間でも俺はあの家が好きになれた。この家ってこんなに温かかったんだなって、幸せだって思えた。
でも、何か違う。あの家も俺が帰る家にかわりはないんだけど、あの家には"4人"でいないと駄目って思ったから。多分、俺1人であそこで過ごしても今日みたいに楽しくはならない。4人で帰る時は向こうへ。俺1人で、兄貴と2人で帰る時は、俺が初めて帰る意味を持てたこの家へ。…あっちのは実家?って奴かな。
俺にとってはどっちの家も大切で、大好きな、そんな場所だ。
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