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それから数分。お母さんに涼は最悪の場合を考えて動け欲を抑えなさすぎだとお説教を食らってた。涼はむっすーってしてそれを聞き、適当に相槌を打つ。
「俺個人としては構わねぇし昴流が良いって言っても"他"の奴は分かんねぇだろ?お前が一番知ってんだろそれは」
「…」
その言葉に初めて涼の口が止まり、ピリピリとした空気になるのが俺にも分かった。多分、涼が触れられたくない話題。思い出したくないこと。
「だから、少しは気を付けろ」
「……っぜぇ、触んな」
きっと兄さんはその反応をするって分かってて言ったんだ。聞いてて分かる。俺のことも考えて言ってくれているけれど、涼のことも心配してるってこと。
涼が無言になると「そら見ろ」と言わんばかりにそう言い、涼の頭を撫でた。涼は嫌そうに振り払うが、本当に嫌なら涼だったらするであろう拒絶よりも酷いものではなくて。
医者としての兄さん。兄としての兄さん。
教師としての涼。俺の、恋人としての涼。
そうじゃなくて『友人』の2人は思えばあまり見てこなかった。2人はこうやって話すらしい。俺には見せない顔。友人として心を許してるからこそのやり取り。
「昴流も、この馬鹿甘やかすなよ」
「えっ、あ、うん…」
もう1度わしゃわしゃと涼の頭を撫でると今度は俺の額に指の腹を押し付けて、注意。
別に甘やかしては…いるか。うん、はい。甘やかしてました。気を付けます。厳しくなれるように頑張ります。
「ま、危険な橋は渡らねぇようにしろってことだ。…んじゃあ"狼城さん"、まずは診察からしますのでこちらへ」
追加で忠告を受け、くしゃりと涼にしたみたいに俺の頭も撫でると、手が離れたらまた仕事の顔に戻ってしまった。
言われた通り兄さんの前に座り、聴診器を当てられる。それが終わったら予め書かされたアンケートみたいなやつの質問とかされた。
「…はい、問題ありませんね。では次は身長と体重を計るので服を着て」
「…う、」
来てしまった。頭からなくなりそうだった単語がまた姿を現してしまった。見たくなかった縦に長いその機器。ここから逃げ出したい。
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