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そう、結局たどり着く先は朝生田がうちの高校に入学してきた理由。それが全く分からないから、余計に怪しく見える訳で。
「でも、今は何もしてきてないんだろ?」
「ええ、はい。普通に話しかけてくる位ですね。んで、愁がキレたら逃げてます」
「そりゃ賢明だ」
「…お前らに危害加えるつもりはねぇのかなぁ」
入学式からもう1ヶ月近くは経った。あいつと初めて会ったのはちょい後からだったけど、俺らに喧嘩売るつもりならもう既に吹っ掛けていてもおかしくない。だって、愁がキレてんだから、それに乗って後は俺を怒らせるだけ。
朝生田がその気ならやろうと思えばいつだって俺らに絡める状況にある。最初、殺気を飛ばしてきたけど、それからは一度だって挑発する素振りは見せない。
俺らが警戒しているからかもしれないけど、絡んでくる奴は大抵そう言うのはお構いなしだ。絡んじまえば結局は相手は警戒せざるを得なくなるんだから。
朝生田が読めない。愁が言っている通り俺と愁に近い将来どうこうするつもりで俺らに話しかけてきてるのか、その気が全くなくてただ雑談したいから会いに来てるだけなのか。最近は全く分からなくなってきてて。
そう考えさせることが目的の罠って可能性も低い。長期戦の嘘は最早心理戦。ボロが出やすいそれをやり通せる奴なんて早々いない。
「マジで不思議っ子だなそいつ。…一回調べてみるわ」
「え、コウ職権濫用?」
「ちげぇよ。仕事のついでだっつーの。"赤"の奴らと関係がなさそうなら少しは安心できんだろ?」
酒を飲み干したグラスをカウンターテーブルに置くと幸仁さんがそう言った。赤色…今までの奴らと朝生田との関係性。その疑いが晴れれば確かに警戒はそこまでする必要はなくなる。朝生田が1人でやれることは限られてんだから。でも、なんか申し訳ないな。幸仁さんも忙しいだろうに…。
「すいません、なんか…」
「気にすんな。もし繋がってたらこっちも警戒しねぇといけねぇから調べるだけ。…ま、時間かかるだろうから分かるまで朝生田と2人きりにはならねぇようにしろよ?後何かあったら誰でもいいから連絡入れろ」
「…ん、はい」
ポフポフと頭を撫でられ、注意を受ける。それに俺は素直に頷く。今回ばかりは大丈夫だろって他人事には出来ない。赤運ないし赤運ないし。
2人に話し、整理したところで朝生田のことが理解できたわけではなく、更に謎が深まっていくばかりだった。
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