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「それ以上は隠してることなんてないっすよ?」
「…本当に?」
「マジマジ」
へらりと笑ってそう朝生田は言った。その笑顔も怪しいが、愁や涼が嘘をついているときに感じるものはそこまでなかった。嘘半分本気半分?俺に言えない、言いたくない秘密は持ってんけどそれ以外はもうないって感じ?
俺らに殺気を向けた理由はまだ教えてもらってないが、これは触れられたくない部類に入るってことなんだろうか。それとも朝生田にとってそれは隠しごとなんかではない小さなことで、俺は聞いていいんだろうか。
「…あのさ」
「はい?」
言えないなら答えないだろう。そう思って、質問してみることにした。もし答えてきたらその回答次第で朝生田への対応が変えるつもりでもいた。
「…あー、否、それは…」
俺の質問に驚いたような顔を見せた直後に苦笑い。これは、前者…否後者?言いにくそうに見えるけど、表現の仕方を探しているようにも見え、どっちでも捉えることができる。
「それは、別にそこまで意味なんかなくて。ただ…そうっすねぇ…」
「ただ?」
「んー…試したかった?」
「あ?」
「あんたらが、"純粋な殺気にも気づかねぇくらいに鈍ってんのかどうか"…をさ、知っときたかった」
これはまたまぁ、予想外っていうかなんと言うか。こいつの主張では敵意ある殺気ではなく、俺と愁の今の実力を測りたかっただけなようで。にわかには信じがたい話だ。
「実際は五分五分ってとこっすね。腕は鈍ってねぇけど感覚は昔よりも落ちてる」
結果を教えてくれたが、そんなことは今はどうでも良い。こいつは、何で。俺らを試すようなことをしたのか。そうしてどうするつもりだったのか。新たに生まれた疑念を俺はこいつに投げ掛けた。
「それは。あんたらが"最恐"の面影を無くしてんだったら…」
「だったら?」
「俺はあんたらを……あー、すいません。やっぱそれ以上は言えないっす」
もやもやするところでストップがかけられてしまった。朝生田が言えないって言ったんなら俺が強要することなんてできない。…だけど俺らをどうするつもりだったのか気になってしまう。謎か残ってしまった。
もし、俺らが中学の頃と比べて弱くなっていたら?こいつは、俺らにあの、最初に向けた殺気のまま俺らを襲ってきたんだろうか。そうとも限らないがまぁ、普通思い付くのはそれだ。
「でもあんたらを悪いようにはしない。これは本当」
「…根拠は?」
あんな区切り方をされてからそう言われても信じられない。
「…"詳しくは言えない"。…それが証拠ってことにしてくんないすか?」
「…はぁ?」
「知らぬが仏。あんたらは知らない方が良い。そう思っといてください」
つまり、こいつは俺らにこのことを詳しく話したら俺らにとって悪いように事が運ぶって言いたいのか?ますます意味が分からない。
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