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席は1つしか空いてなくて俺が座らせてもらい、涼が立って待ち時間を過ごす。涼は良い位置に俺の頭が来るのか先からずっと俺の髪をくるくると弄ってる。
「…楽しい?」
「嗚呼。ふふ、昴流が動くと髪がふよふよして可愛い」
「ふ、ふよふよ…」
髪が揺れるって言いたいんだろうか。少しパーマ当ててたらそりゃあな。それを言えば涼だってワックスつけてるから髪がふわっとしてる。
「えー…っと2名でお待ちの椿様~」
飽きもせず延々と俺の髪で涼が遊んでいると、店員がリストに書いた涼の名前を読み上げた。それに涼が軽く返事をして、席を案内してもらう。
テーブル席についてメニューを広げてみる。ランチセットは量が多そうだから単品のところを見てみる。スパゲッティが美味しそう。
「涼決めた?」
「んー…もうちょい」
ピラピラとメニューのページを行ったり来たり。ピンと来るものがないのか、それとも選択肢が多くて悩んでいるのか。恐らく後者で先から同じページを眺めてる涼が可愛らしい。
「ん、決めた。昴流は?」
「俺和風スパゲッティ」
「了解。…あ、オーダーお願いできます?」
「あ、はい畏まりました」
ちょうど近くを通りかかった店員を涼が引き留めメニューを読み上げていく。涼はグラタンにしたらしい。悩んでグラタンってのも可愛いかも。
「…何、可愛く笑って」
そんなことを考えていると表情に出ていたらしい。涼がむ、としてそう聞いてきた。
「涼が可愛いな、と思って…」
「…この短時間で俺何かした?」
「んー…」
別に変なことしてた訳じゃない。涼は普段通りだ。ただ、俺が可愛いと思っただけで。
「いつも涼かわい」
俺がそんな答えを出すと、涼は可愛いと言われて喜んだら良いのか分からないって複雑そうな顔をした。涼は可愛いって言われても喜ばない。
…まぁ、男だし可愛い可愛い言われるのが嬉しい筈もないんだけど。でも涼と同じで俺の可愛いも『好き』って気持ちがあるからこその言葉だから、別に馬鹿にしてるわけではないんだぞ。
「可愛い涼」
「…何回も言わない」
「んむ…」
『可愛い』はあまりおきに召さないらしく、3度目のそれを言うと人さし指を唇に押し付けられた。
「次、言ったら"指"じゃあ済まないかもね」
つんつん、と唇をつつかれながら言われたそれに、ぽぽぽ、と顔が熱くなっていく。唇を言葉にはしていないが強調しながら言った意味なんて、すぐに理解した。
駄目だ、涼ならしかねない。こんなとこでキス…とか俺心臓持たない。言わない。絶対もうこのデートの間は言わない。
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