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「…昔の俺はさ」
「…?」
そうしてふと、喋りだしたのは自分のこと。涼があまり話したがらないそれ。
「周りにいる奴全員疑いの目かけるだけで興味なんてなかったし、人が作ったもの食べれなくなるし、潔癖ではないと思うけどずっと手袋つけて、人に触れないし。彗や晃…唯一俺のとこに残ってくれた奴らには迷惑かけてっぱなしで今思えば最悪だよ。喧嘩もしたし、短気で、良い性格とは言い難い自覚もある。…ほらそれに、浮気性で…DV紛いなこともしてたし良いとこなんて1つもない」
嘲笑まじりにぽつりぽつりと、自分の過去を整理するように話す涼。何で急に話し出したのかは分からないが、それを俺は黙って聞いた。そんなことない、とか否定の言葉もかけれるけれど、当事者でもない俺が言うのは駄目な気がして。
「…でもさそんな俺を変えてくれたのは昴流なんだよ。昴流はそこまで対した変化はないと思ってるかもしれないけど」
涼の言葉に頷くと「ほら見ろ」と言わんばかりに涼が微笑する。
雪路さんの家に言ったとき、涼が変わったっていろんな人に聞いたし、雰囲気も最初よりは変わったと思うけれど、俺にはたったそれだけしか涼の変化は実感していない。正直涼が言う過去の自分が全部本当なのか、と思ってしまう所もあって。だって、俺には想像できないことが今言われた中にもいくつかあった。
「大学生までは良かったけど、仕事持ったからには耐えないといけない部分もあってね。…まぁ、だから猫被り?前いた高校は生徒とも、他の教師とも距離が近くなった…向こうから近づいてきてる気がして止めた。距離が、欲しかった」
「へー…」
「今の学校での口調になったのはそっからかなぁ…。そうやって距離置いた方が楽でさ。子供の方が本能的に察す能力が高いからその分で言えば教師って仕事は俺に合ってるかもな」
涼が教師になった理由。少し見えてきた気がした。それからあの教師の姿でいるときの、愁が初っ端から「きもいうざい」と言っていたあの笑顔も。
教師と生徒じゃあ、社員だけしかいない会社よりも仕事抜きで人と接触する回数は減る。…まぁ、そうは言っても完全ではなくて。現に涼は人気者?だし。あの笑顔は涼の壁で、踏み越えられたくないラインを作っていたんだろうと今なら思う。
「まぁ、教師になった一番の理由はたかが高校科目。寝てても出来そうな問題を教えてるだけでお金入ってくるってすげぇ楽じゃん。…ってのなんだけど」
「うわぁ……」
それ琉生に言ったら号泣するぞ。
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