アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
その理論で行くと、涼にとっての労働時間は生徒に教えることは含まれてなくて、職員室内での雑務だけ、ってことになる。…涼が帰り遅くなってもあまり労働時間に愚痴をこぼさないのはこういうことだったのか。そりゃあそうだよな。残業がない限り涼は働かずにお金が入ってくる感覚だもんな。その分の仕事を残業で返してるだけだもんな。
「…でさ、そうやってやれること全部して、人と距離をとってきた。でも昴流に会えたから、食べ物少し克服できたし、無理しなくても手袋外せるようになって。ある程度の距離なら許せるようになった。それから、昴流だけだけど誰かを大切にしたいって、思えるようになった。…俺をこんだけ変えておいて自信がないなんて許さないよ昴流」
「ご、ごめん…」
小さなことから大きなこと。涼の色々な変化は本当に、俺と付き合いだしてからなんだと聞いていて思った。知らなかったことも沢山聞けた。涼の気持ちが分かれば分かるほど、不安が薄まっていく気がした。
それからも俺が納得するまでこうやって涼は、話を続けてくれた。俺のどこが好きなのか、とか。その好きがどれだけのものなのか、とか。
「こんなに可愛いのに昴流以上の人がいる訳がない。嫌いになる理由もない。だから言ってごらん?何が嫌だった?俺にどうして欲しい?」
それで、納得できたら俺がそう言わなくても話を切り替えて、また先は答えれなかった質問を聞いてきた。
まだ重たいって言われるんじゃないかって不安はあったけれど、涼の話を一杯聞けて胸が軽くなった今だからか、途切れ途切れになりながらでも今度は口にすることができた。
「涼が、愛想笑いって分かってるけど…笑ってるの見るの、嫌だ」
「感情なんて籠ってないのに?」
「遠くから見たら、そんなの分からないから…。涼の、可愛い顔色んな人に見られたくない…」
はにかむ顔。嬉しそうな顔。しょんぼりとした顔。笑っている顔だけじゃなくて、涼が見せる表情を独占したい、と思ってしまう。多分涼の可愛い顔が、俺だけに向けられるものだと思っていたいんだと思う。違うと思ってしまったら、それで不安になる。涼が感情を見せる相手ってことは少なからず涼の好感を得ているってことだから。
「じゃあ学校の俺って嫌だったの?」
「それは仕方ないし…」
「許せる範囲ってことね。…ふふ、良いよ。もう笑わない。他にはないの?」
「えっ…」
「ん?」
ただの俺の嫉妬で、重たく感じても良いのに、涼は予想外にもすんなりと俺の我が儘に頷いた。しかも他にないのかと来たもんだ。まるで俺の要求が大したことがないと言わんばかりに。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
807 / 1113