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同時刻。大音量の音楽が流れる古びた部屋に集まったそいつ等。ネオンの光を思い出させる灯りのみの薄暗い部屋の中で、その中にいた男が1人、ソファに座って携帯を眺めている。それには継ぎ接ぎだらけの兎と思しき、世辞でも趣味が良いとは言いがたいキーホールダーがつけられていた。
「ボス楽しそうに何みてんだ?」
ボスと他の男に呼ばれたその男。携帯の電源を落としてポケットにしまい、「AV」と答える。真顔で言われたためその真相は不明である。が、それでも聞いた本人は興味があって聞いた訳ではなさそうで、真意を確かめはせずに笑った。「こんなとこで見てんじゃねぇよ」と。
「溜まってんのかァ?セット組んでやるぜ?」
「てめぇらと輪姦す気分じゃねぇし止めとくわ」
男の誘いに『ボス』はひらりと手を振って断った。
会話はそこで切れ、また音楽だけの空間へと戻る。
「そういやボス、"あれ"ちゃんとやってくれてんのか?もう1ヶ月半は経つぜ?」
ふと、1人が思い出したことを男に問うた。それが意味するものは不明だが、彼等の中では通じているらしい。その問いで、他の男たちも1ヶ月半も放置されていた何かを思い出したらしく、同様のことを男に尋ねた。その答えを、そいつは相変わらずの無表情で返した。
「まぁ、待てよ。俺だって忙しいんだ。"探し"てはいる」
「"ハスラー"の奴等に応援求めた方が良いんじゃねぇの?」
「止めとけ。大人数で探せば、バレる。第一"前の奴がしくじった"せいでサツがうろついてんだぞ。得策じゃあない」
何に対してのかは分からないが、恐らく、会話の内容からして何かを探していてそれに対しての増援…だろう。それもまた、『ボス』は断り、自分1人でどうにかする旨のことを彼等に言った。だが1人、それに疑いの目を向けた。
「あんた、本当は探す気ねぇとか言わねぇよな?」
…と。彼の立場としては1ヶ月以上も「1人でどうにかする」と言われ続けているのだ。こうも進展がなければ疑いたくもなった。『ボス』はそれに笑った。そんな訳が無いだろう、という質問の馬鹿馬鹿しさを一杯に含んで。
「こっちは1度”殺された"んだぜ?やり返すのが筋だろうが。違うか?なァ?ただなぁ、サツが邪魔なんだよ。ありゃあ慎重に行かねぇと駄目だ」
「…そう言うことにしといてやるよ」
まだ納得していない様子ではあるが、引き下がったそいつを見て、男は立ち上がった。
どうしたと周りの連中に聞かれると「帰る」と一言。
「親が今ヒス起こしてるって前にも言っただろ」
「それボスのせいじゃね?」
「ふは、そうかもな。こんな出来の悪い息子いたらそりゃあそうだ。だから帰るわ。監視されるようになっても困るしなァ…」
その帰る理由も本当かは分からないが、男は「じゃあな」と部屋にいた人間に向かって手をふらりと振って、部屋を出て行った。
こつん、こつんと足音を響かせて階段を下りながら、そいつは電源を切っていた携帯を立ち上げた。明るくなった液晶は先まで見ていた画面のままで、それを見て男はにぃ、と笑った。
「かぁわいいなぁ…」
男があの時見ていたもの、今見ているもの、それは写真だった。その写真の中央には楽しそうに笑っている少年が映っている。そして、その隣にいるスタイルの良い男。
互いに目を合わせて微笑み合っているその写真に、男は思わず頬が緩んでしまったのである。
「人間になった気分はどうですか"狂ちゃん"」
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