アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
「先輩どうしたんですかその袋…サンタは季節が早すぎますよ?」
放課後に部活へ行くと舞那ちゃんに苦笑いされた。朝生田に持って帰る用に袋貰ったんだけど、そっちも凄ぇ大きくて。あれだ、小学生でいう作品袋を持ち運んでる気分。
「熊貰った」
「学校で何でそんなことが行われてるかはあえて突っ込みませんが、誰から?」
「…朝生田?1年の」
袋の中身を伝えたら一気に察した、って顔をされた。送り主が朝生田だと分かると、舞那ちゃんも知ってるらしく、「嗚呼、あの人」とぽん、と手を叩いた。
「最近先輩達の傍をうろうろしてるって噂の人ですよね」
「んー…?うん」
うろうろはされてない気がするけど、まぁそんな感じだ。噂って凄いな。俺舞那ちゃんに朝生田のこと話すの初めてなのにもう既に知ってるなんて。
「結構修羅場って聞きましたけど?」
「え」
「魔咲先輩とその赤い人が狼城先輩を取り合ってる、とか」
「えぇ…」
「別に取り合ってねぇし」
噂ってのは拡散力はあるけど正確性はまるでない。取り合ってるって。俺そんな記憶ないぞ。まぁ、確かに愁は朝生田に怒ってますけども。…あれ、それがそう周りの人には見える…のか?
当事者からしてみれば全くそのつもりはなかったのでとりあえずそんな意味のわからない噂は否定。
「へぇ、それは大変ですね」
どうして今みたいなことになってるのか舞那ちゃんに説明する。そうしたら理解してくれたようで「お疲れ様です」と合掌。
「あ、赤い人の噂もう1つあるんですけど」
「まだ噂あんのかよ」
2つ目の噂の浮上に今度は俺らの方が苦笑い。
そりゃあ火のないところに煙はたたないって言うもんな。煙あいつ出まくってるもんな。
「テニス部の後輩の子が言ってたんですけど、部活帰りに夜その赤い人と思われる人を見たらしくて」
「へぇ?」
「やばかったらしいですよ、雰囲気とか。学校での印象と全く違ってたみたいで。それに、柄の悪い人と一緒にいてその集団の中心にいたらしくて」
「本人かは分かりませんけどね」と付け足されるがあんな目立つ見た目してる奴そうそういないし本人の可能性が高い。こっちの噂は聞き流すことできねぇ…かも?
朝生田は違ぇだろ、って思ってたけどこれで族連中との繋がりの否定もできなくなった。ますますあいつが何したいのか分からなくなってきたなぁ…。
へらへら感情のない笑みを浮かべて、かと思えば可愛いものには目を輝かせて、そして一転。殺気を含んだ目に変わる。
幸仁さんや優さんにも言ったけれど、本当に族の人間なら、俺らに関わってきたってってことは手を出すのが目的の筈。でもそんな気配は一切ない。どっちかと言えば俺らの教室に来て好きなだけ話したら帰っていく…って感じでただ遊びに来ている印象の方が強い。
「…ちー、そこどこら辺っつってた?」
「えーっと…ゲームセンター近くの大通りって言ってましたけど…」
ここらでゲームセンターなんて1つしかない。昔俺と愁が良く行っていた、夜になると柄の悪い連中が増えるエリア。そこは警察の見廻りする場所に含まれているはずだが、それなのに大通りに堂々といたなんて信じがたい。朝生田のこと聞けば聞くほど底無し沼にはまっていってる気がする。
確証はできないけど、とりあえずこれ幸仁さんと吏さんに伝えた方が良いのかもしれない?そこに本当にヤバい奴らがたむろってるんなら、今よりも警戒強めた方が良いだろうし。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
828 / 1113