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朝生田の噂を舞那ちゃんから聞いた数日後に、優さんの店でまた幸仁さんと話す機会があった。前来たときに行っていた『朝生田を調べる』のが終わったんだろうか、今度は吏さんも一緒で。
「昴流、飯」
「え、あっ、はい」
朝生田のことを切り出されるんだと思っていたのに、最初に口にしたのはそれ。否確かに晩飯時だけれども。
何が良いか2人に聞いてもお任せって言われたから、適当に作りながら雑談を交わす。それは一切朝生田には触れず、3年はどんな感じだ、とか愁と琉生はどうしてる、とか俺らのことばかりで。…今日は朝生田のこと関係なかったのだろうか。
「嗚呼、忘れてた。あの赤い奴のことなんだが」
俺の思い過ごしだったのだと思い、自分からそいつには触れないでいると、前菜が作り終わる頃に幸仁さんが朝生田のことをやっと口にした。ただ忘れていただけらしい。忘れる、ってことはそこまで重要じゃあない、のか?
「そいつかは分からねぇが赤い連中を警戒区域を見廻りしてるときに見た奴は、いる。けど問題は今のところ起こしてねぇからどうとも言えねぇな。ただたまたま身に付けてる色が被った集団なのか"そう言う"奴等なのか」
「流石に色ってだけで補導する訳にも行かないからさ。ただの夜遊びの不良集団ならどこに行ったっているからね」
その話からするに、今の段階では朝生田はグレーゾーン。判断要素が足りてない、ってことか。
「じゃあ、いるのかいねぇのかで言ったら、"いる"」
「しかもホームカラーが赤。名前は忘れたけど過激派って噂」
「だからあんま踏み込めねぇのもあってな。流石にチャカぶっ放されたくもねぇし刺されたくねぇし?」
うーん…黒に近いグレー、ってことか?
もし本当に、朝生田が族に属していてその集団が過激派なら、2人の判断が賢明だ。
俺が刺されたり、リンチに遭った時と同じで、何をするか分かったもんじゃあない。
…嗚呼、そう言えば、舞那ちゃんが言ってた。朝生田の雰囲気がやばかったって。もし、幸仁さんと吏さんの言う情報が正しくて、本当に舞那ちゃんの後輩の子が言っていた奴が朝生田なら。…限りなく黒に近いじゃあないか、これ。
「…あーやばいね、それ」
2人に今日聞いた話を言えば、きっと俺と同じことを考えているのだろう。苦笑いが返ってきた。
違うって、その可能性は低いって思ってた。なのにこんなに情報が揃ってしまったら、朝生田を疑うしかない。学校でのあいつも、"本心"は少なからず感じられるけど、もう、仕方ない。朝生田が何をしたいのか、それが全く見えないけど、警戒を強めてみるしかなくなった。
「その不思議っ子ちゃんマジで何したいんだろうね。もう6月入りそうだし、動きを見せるには遅すぎる」
優さんの疑問に俺も同意。そう、やっぱりそこなんだ。朝生田を警戒する1番の理由。朝生田の目的さえ分かれば幾分かは楽になるのに。あいつはそれをケーキを食べに行った時に聞いたら答えてはくれなかった。
「俺だったら、サツの目が厳しいから動けないんだとしても1ヵ月半も待てねぇなぁ…逆に目を掻い潜れる方法を探す」
「だろ?あーーまじで不思議っ子。面倒臭ぇ…」
背後が闇で隠れてしまってる朝生田に全員お手上げ状態だ。
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