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何だよ、何なんだよその顔。まるで、信じられてないのが辛い、って言うみたいに。信じれないようにしたのは、お前じゃないか。
「…俺が、"朝生田茜でいる間"は保証するから」
「……は、意味分かんねぇんだけど」
その言い方は、まるでお前が"朝生田茜"じゃあないときがあるみたいじゃないか。
「死なない限りそれに嘘はねぇ、ってことか?」
「……さぁ、分かってるんすよね?本当は」
本当は、って…俺がそれ以外の意味も見当がついているみたいに。
……嗚呼、そうか。こいつは、こいつにとっては、想定内のことなんだ。俺が、朝生田が柄の悪い連中とつるんでたって知ってるのも、怪我の痕、それだけじゃない。学校であった電話も。例えどんなに小さなことでも、自分の行動から俺が推測できるものは全部、頭の中に入ってるんだ、きっと。
「…悪ィ狂ちゃん。狂ちゃん気になってることは想像できんだけど、前も言ったけど言えねぇんすよ。俺にも事情があるんで。でもあんたらに何もする気がないのはマジなんで、そこだけは信じてくれねぇっすか」
「……完全にか?無理、だろ」
本心を隠した奴に信じろって言われたって、できない。俺もそこまで素直に頷ける人間ではなくて。
お前は、信じるには秘密が、嘘が、多くなりすぎたんだ。お前の表情全てが嘘ではないってのは分かっているけれど、やっぱ無理だ。
愁の嘘とは違う。あいつは目的があって嘘をつくけれど、こいつはそれすらも分からない嘘ばっかり。それが一番の、お前を警戒せざるを得なくなった理由だろう。
「…はぁ……まぁそう来るよな。否、そこは俺が悪ィんだけど、そう警戒されると俺も俺で"困る"って言うか…」
「は…、困る?何が?」
「警戒されたらこっちもこっちで動きにくいから?」
こいつを警戒して聞いていると、それを例え他の意味で言っているんだとしても、俺には「警戒され過ぎて攻撃を仕掛けられない」と言っているようにしか聞こえなくて。
嗚呼、糞。朝生田が正直に話したところで何も見えてこない。頭が痛くなってくる。
「そう言うことだから、お願いな狂ちゃん」
「…はぁ」
お願いって、俺がお前に警戒しないことに対してか?いやいやいや…無理だろ。前よりもこいつの目的で悩みだした時点でもうこいつの願いを聞けることはないんだと思う。
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