アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
翌朝は昨日の疲労感がやってきたのかいつも起きるよりも1時間遅れてしまった。しかも起きたのが兄貴のメールのお陰で。
液晶に出てくる曜日にはっとする。今日月曜じゃん、と。時間は6時半。…弁当は作れそうに…ない。ごめん兄貴と申し訳ない気持ちと朝の挨拶を兄貴に送り返して、布団から出る。
既にもうベットからいなくなっていた涼。きっとリビングにいるのだろうと思い、寝室のドアを開けてみたがそこに涼の姿は見当たらない。トイレかなぁと思って顔を洗いに洗面所へ行くと、棚に下着、タオルかけにはバスタオルがかけられていて、浴室から音が聞こえるので、どうやら涼はトイレでもなくシャワーを浴びているらしい。
「昴流起きたの?おはよ」
「おはよ」
顔を洗っている最中にガラガラ、と背後から扉が開く音がし、涼が声をかけてきた。それに俺も挨拶を仕返す。
「あ……」
タオルを取ろうと涼が俺に背を向けたとき、ちらりと見えてしまった。肩にある引っかき傷。それはもしかしなくても俺が昨日、つけてしまったやつだ。薄っすらと赤くなっていて、切れてはなさそうだったけど、無意識にここまで力を入れていたんだから涼は絶対痛かったよなぁ…?
「りょ…肩…」
「ん…?嗚呼…、ふふ、昴流ってばすっごい情熱的なんだもんね?」
「う…、ごめん……」
俺が指摘すると涼はくすくすと笑いながら、その、俺の記憶があやふやな時のことを喋りだす。俺を責める言い方ではなかったけれど、多分言い方的に痛かったんだろうなぁ、と思って謝る。
「気にしないで良いのに。…寧ろ、俺のこともっと傷だらけにしても構わないけど?」
「えっ……あ…?」
「昴流だけの話な、勿論」
涼の予想外の返事に一瞬思考が止まってしまう。その間に涼が俺の手を掴んで自身の胸板に当てて、妖しげな笑みを浮かべる。
この、掴まれてる右手で幾らでも傷をつけて良い…だなんて。言葉通りにいえば俺ってただのバイオレンスな奴になるし、涼がMみたいになっちゃうんだけど……、多分これはそうじゃなくてもっと余裕なくなって、涼にしがみついても良いよってこと?
――それの他に考えられるのは……、
「もっと俺の体に俺が昴流のだって証、刻み込んで」
「~っ…!!」
"所有印"。涼が俺のだっていう、痕。
俺がそれを思い付く前に掴まれていた手の、指の股にするりと涼の指が絡んできた。意識してもいるんだろうが風呂上がりなのもあって熱っぽい声。そんな声でそう言うこと言われたら、誰だって心臓が跳ねてしまう。
普通に言えば良いのに、何でこう…いつもワンアクションいれようとするんだろうこの人は。俺によく煽らないでとか言ってるけど、お前の方が煽ってるじゃん?
「…ふふ、顔真っ赤。かわい」
「っ涼の!せいじゃん……!」
「っんぇ…」
でも多分この人は俺がそんなこと考えてるなんて思ってもなくて、熱を帯びた俺の頬をつついてふにゃんと笑う。こんな気の抜けた笑顔は俺にしか向けない。それはつまりそれだけ俺に気を許してるって証拠でもある。可愛らしくて、俺が好きな涼の表情。
だけど、今は俺の気も知らない涼にちょっとむかっときて、ほっぺを摘まんでやった。仕返しだ馬鹿。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
879 / 1113