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「お前、俺と愁のこと狙ってんだよな」
これは、問いじゃなくて"確認"だ。こいつの言うことのどれが本音なのかの。それに朝生田は一瞬、苦しそうに笑って「そうですね」と肯定した。
「でも、あいつらに、会わせる気がなかったのも本音っすよ」
またでた。こいつの矛盾。それでいつもと同じで知らない方が幸せなこともあるんだとか、そういうことを言うんだろう。こいつは、真実を深くまで話さない。
「…俺って、学校でどう噂されてます?」
「…はぁ?」
けれど今回はそれすらも言わずに話題が急に変わった。どう、と言われても。悪い噂で一杯ですが。
「族と、つるんでる」
「『族』、ねぇ…。まぁ、間違いないな」
案外、すんなりと。噂を認めた。
今まで「親父と揉めた」とその存在を曖昧にしてきたにも関わらずそうなのは、俺がその一員に会ってしまったからなのか。
「でもさ、狂ちゃん。訂正だ。『つるんでる』んじゃなくて――『率いて』んだよ」
「…っ、」
「その"違い"は大事だぜ?俺が、『掟』だ」
瞬間、またしても表情が『赤』でいるときの朝生田のものに変わる。ころころとすぐに雰囲気を変えるこいつが二重人格であることを疑ったのはこれで何度目か。
『赤』を率いていて、朝生田が集団での掟。則ちこいつが族の"全て"。やっぱりこいつは、先までいた奴等が「ボス」と呼んでいたように、この団体の頭なようだ。
「…で、俺が、あんたと悪魔を狙ってるかどうか、だったっけか。確かに俺は、『頭』として。あんたらを狙ってる。何故?そりゃああんたらを恨んでるから」
「うら…?」
「あんたらのせいでしょっぴかれた奴等もいる。それに昔には一度滅んだ命だ。恨まねぇ訳ねぇだろ?俺らには、"ここ"が全てなんだから。……まァ、"最恐"にボコられた一部は別の恨みもあるだろうが」
初めて聞かされた狙われている理由。恨んでいる、というのは中学であったことに関係しているのだろうけど正直あまり覚えてないし、しょっぴかれたのは自業自得な気がしてならない。そうされるには十分なことをしてたってことなんだし。たかが喧嘩でなっているのなら、俺も捕まってる筈だ。…まぁ、補導は、された……けど。
一度滅んだ、ってのは解散した…って意味だろうか。良くわかんねぇけど、俺そこまでのことした記憶がないんだけど。愁も絶対「は?いつのこと?」って答えると思う。
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