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「…あれ、魔咲先輩がこの曜日にいるのって珍しいですね~」
「まぁ、色々あってな」
その日からお互いに何か急がないといけない用事がない限りは愁と登下校を共にして。そうしたら必然的に俺が部活に参加するときは愁もすることになり。
自分の命の方が大事だからとバイトも少し減らしたらしい。バイト終わりも桂木さんと一緒に帰っているみたいだ。そんな訳で恐らく、愁が部活2年目にして初めて、週2で部活に参加している。
「最近お2人ってあれですよね~。いつもそうだけど一段と距離が近くないですか?一緒にいる時間も増えてますよね。結構放課後とか互いに自由にしてる感じだったのに」
「今俺ら仲深める期間だから」
「これ以上深めなくても良いですよね…?」
「どう言う心境の変化だ」って隠れた問いが聞こえてくる言い方。舞那ちゃんが言うように、以前よりも俺は、愁と一緒にいるようになった自覚はある。でもそれは1人きりになるのを避けた結果であって、愁とだけ行動を共にする時間が増えたわけではない。琉生だって一緒だぞ。それなのに愁の方から先に言われるのは…俺と愁が付き合ってるって言う疑惑があるからなんだろうなぁ。それが分かっているんだろう、愁が俺に抱きついて仲が良いことを舞那ちゃんにアピールする。
「って言うのは冗談で。俺とルウちゃんそんなことしなくてもラブラブだし」
「嗚呼…うん、はい」
「朝生田対策にな~、2人なら絡まれてもどうにでもなんだろ」
「あっ赤まりもさんが出てきた時点で察しました」
朝生田の名前が出ただけで、そう説明はしていないのだが、舞那ちゃんがもう不必要であると愁に伝える。
あ、赤まりも…。舞那ちゃんって結構言うよなぁ、やっぱ。涼と仲良くできそう。涼はあいつの呼び方『赤潮に呑まれたわかめ』だろ?でも黒いとこで仲良くなられるのもなぁ…。そこだけダークマターになりそう。触れてはいけない未知なる物質。混ぜたら危険。
「ちーも気を付けた方が良いんじゃね?ここら辺夜治安悪いしなぁ…」
「あー、そうですよね。一応同じ部活の子と一緒に帰ったりはしてるんですけど」
「女の子だけなのは危ないよね~」
そう、だよな。俺らは2人でいたら男だし、まだ良いけど、舞那ちゃんは女の子な訳で。万が一絡まれても逃げるのは難しいよな。例え舞那ちゃんがテニス部で、運動していない奴と比べたら体力があって、足が速いんだとしても。力じゃあ勝つのは難しい。
朝生田率いるあの軍団が舞那ちゃんに絡んでくるとは考えにくいけれども、可能性はゼロじゃあない。もし、俺らが通っている高校を何らかの形で知ったら?当然、同じ制服を着たやつらもターゲットになる。情報をより得た方が俺らを見つけやすいんだから。
どんなに小さな可能性であっても、俺と愁のことで誰かを巻き込みたくはない。
「まなちゃん一緒に帰る?」
「一緒にですか~?そこまで心配するようなことでは…と言いたいところなんですけどねー…。陸上の方に行ってるときは1人で帰ることが多いのでお願いできます?」
「ん」
帰りが心配だから一応誘ってみた。帰り道が同じなところだけでも一緒の方が安全だろうと思って。どうやら舞那ちゃんはマネージャーとしてこっちに来る時は基本的に1人で帰ってるらしい。それは危なすぎるから俺らが陸上に来る時だけは3人で帰ることになった。
「俺らいないときはルイちゃん誘えば良いよ~」
「吉柳先輩ってパッと見は強そうですよね。背高いから?」
愁の提案に舞那ちゃんは笑って返すけどそれ、もしかしなくても遠回しで強そうなのは外見だけって言ってる?…まぁ、外見に似合わず親に言われるくらいに中身は雛…ンン゛ッ…だけれども。絡まれなければそれもバレないし大丈夫だろうか。…大丈夫かなぁ。琉生不良に何故か絡まれやすいもんなぁ。どう言う訳かこの場合舞那ちゃん以上に琉生が心配になってくるって不思議。
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