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…と、なれば。こいつらが見覚えのある『兎』基俺を見つけたから興味本位で話しかけただけでどうする気もないんだとしても、万が一の為に舞那ちゃんをこの場から離れさせて、2人で切り抜けるのが最善策?
「ちー近くの署まで走れんよな」
「え、あ、はい。そのくらいなら」
「んじゃあ、そこの鳴海って奴か雲上って奴呼んだら良い。宜しくな。昴流、お前どんくらいいけるよ」
「短くて10分」
「ギリギリだな糞」
とは言っても考えなしにこの場から逃げるのは危ないままなので幸仁さんと吏さんがいる場所に逃げてもらうことにして。ついでに逃げる隙を見つけられなくても時間を稼げば助けに来てもらえる作戦だ。問題があるとすれば、彼らの実力が分からない以上その凶暴さから稼げる時間を割り出してみるとそこまで持ちそうにない、ってことなんだけど。まぁそこは意地で乗り切るしかない。…後は運?
「…あ、おい…っ?!…ッチ」
俺らはあまり説明しなかったけど舞那ちゃんは状況的に言いたいことを察してくれたようで、何も言わず、了承の合図として頷きだけして走ってこの場から離れた。流石運動部。すぐに遠くに行ってしまったからこいつらも追いかけるのは諦めたらしい。
「逃げるとかさァ、酷くね?なぁ?」
「なぁ?」と言われても、逃げたくもなる絡み方をしてくるお前らが悪いのであって同意を求められても。
「ちょーっと話しかけただけなのによォ…」
そいつは頭を掻いて不満を零す。俺らが警戒してること、舞那ちゃんをまず逃がしたこと、それが気に入らないようで。自分達がどう言う存在か俺らに深く知られていないだろうし逃げられることはない、とでも思っていたんだろう。
「…あ゛?おいもしかして、ボスになんか言われたか?」
だけど突然、男はその逃げられる原因を思いついたようで、朝生田のことを聞いてきた。
それも、まぁ、ある。あいつが言わなければこいつらの野蛮さに気づかなかったところもあるだろうし。
「糞、そう言うことか…」
「余計なことしやがって」と朝生田が自分達の知らないところで忠告していたことに文句を言うそいつ。…前も思ったけどやーっぱこいつら、朝生田と仲悪いのか??
「あいつさァ、俺らに基本気に入ってる奴は紹介しねぇ訳よ。こう、自分のもんには触られたくねぇ感じ?分かる?」
「……あ?」
え、俺あいつに気に入られてたんだ、とこいつの言葉を聞いてまずそう思った。俺気に入られるほどのやり取りしてない気がするんだけどなぁ。
お前らの勘違いだろ、それ。朝生田は俺らに何もしたくなさそうだった。だからあいつは俺らをお前ら『赤』から遠ざけようとしていただけなんじゃないのか。お前らがそう勘違いしているのは、俺を『兎』って朝生田が言ったからなんだろうけど。
「でもさァ…隠されると、ぶっ壊したくなんだろ?」
「は?……っぐ、ぅ」
急に訳の分からないことを言い出し、呆気にとられているとそいつの拳が俺めがけて放たれる。あまりに急なことで、受け身の体勢になったは良いものの、遅かったために体がよろめく。
「大丈夫か?」
「折れては、ない」
ビリビリと腕に痛みが走るが、折れてはなさそうだ。
こいつら、思ってたよりも頭がおかしいらしい。だって、普通。普通に考えて。舞那ちゃんがいなくなったんだから、警察呼びに行ったことくらい想像できるだろ。なのに、それを分かった上で殴りかかってくるか?何、馬鹿じゃねぇの。
「…これである程度の自衛だけで逃げろって無理あるくね?あのわかめ頭イカれてんだろ」
こいつらの凶暴さに愁がぼそりと愚痴をこぼす。それに俺も激しく同意したい。
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