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「…勃ち悪いな」
薬の力を持ってしても不快感がストッパーになっているのか、ゆるくしか反応を見せない俺のもの。メアがその様子に舌打ちする。俺としては、薬を盛られた以上勃ってしまうのは仕方ないところがあるにせよ、ほんのちょっとでも反応してしまったソレが嫌だった。さっさと気合で萎えろとそいつからしてみれば横暴なことを命じてみる。そんなんで萎えるなら苦労しないけど。
「見たくはねぇけど勃ってくんねぇとなァ…」
「先にケツから行けば?」
「や、男相手に慣れてからやりてぇし」
「はは…まぁそうだよな」
レイプなら、相手が恋人やセフレじゃあないんだ。別にやる順番にこだわる必要はない。それこそちまちま愛撫なんてやる必要はどこにもない。要はさっさと突っこんじまうのが普通なんじゃねぇの、ってこと。
それでも面倒だなんだと言いながら俺が反応を見せないうちに腎部に触れる…つまり挿入することをこいつらは避けたがる。その理由が「男相手に先に慣れたい」…だなんて。男相手への抵抗感が少しでもあるなら止めれば良いのに。寧ろ止めて欲しい。
「…、った……」
メアが仕方無しにと言わんばかりにもう一度舌打ちして俺のを扱きだす。が、こいつの強さでは生地が濡れてなくて硬いせいで、気持ち良いとか、悪い以前にちょっと擦れるのが痛かった。
「…メア、お前力加減下手糞なのどうにかしろよ」
「難しいんだから仕方ねェだろ」
俺の反応に気がついて、ツキがメアに「不器用なの自覚して気をつけろ」だのなんだのとお説教。これが不器用で片付けれるなら絶対こいつ日常生活事故ってばっかだろ。うっかり食事中に箸すら折ってそうだぞ。スマホの液晶とかバッキバキに割れてそうだし。
「つーかローション。痛がらせるためにやってんじゃねぇんだから」
「細けェなぁ…。あれか?お前男相手だから"アレ"気にしーー…」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」
そしてローションを使えと追加で言われ、メアは面倒臭そうに頭を掻く。それは極々普通のやり取りで、特に何も変なところはなかったと俺は思ったのだけれど、メアの返事に抑揚のない声で終始喋っていたツキが、初めて怒った。よく分からないけど『アレ』っていうのはこいつらの中ではタブーらしい。他の奴等も何かしら反応が体に出ていた。
「…兎に角、そっち目的ならリンチで十分だろ、"リーダー"」
「リーダー」と強調したツキ。メアが上の立場であることをわざと強く言うことで、こいつが先の発言に対してどれだけ怒っているのかが分かる。自分の方が正しいと、そう言っているようにも聞こえる。
俺はそこまで揉める必要性がどこにあったのか理解し難いが、こいつらがやりたいだけ言い争ってもらって構わない。それはこいつらの自由だ。ただ、何も知らないまま挟まれてる身としては勘弁してもらいたい。
「良く考えてみろよ。こいつは、リンチじゃあ折れなかったんだぞ。痛みじゃあ通じない。…そう言う奴に何が一番効果的か…なんて俺らが"良く見てきた"ことだろ」
リンチ、それが意味するのは去年のあれなんだろう。けど、違う。そりゃあ『暴力』の方が精神的には楽だ。でも、俺はあの時何ともなかった訳じゃなくて、リンチに遭ってもヘラヘラと笑って気にしなかったんじゃなくて。涼がいてくれたから乗り越えられたのもあったんだ。でもこいつらは涼の存在を知らないから俺がそうだったように見えるんだろう。
それで、リンチで無理だったからレイプ。しかも、『暴力』としてではなく『性行為』としての。そんで、恋人同士のようーー俺を女扱いするみたいに。
それは、男としての尊厳を奪うもの、屈辱的なもの。
俺が"狂狼"だと知る前に手を出してきた時は朝生田への嫌がらせのつもりだったんだろうが、今はそれだろう。見方を変えれば俺が誰か知らなければこれとは違ったヤラれ方をされていたのかもしれない。
まぁ何にせよ、今こいつらがやってんのはある意味では精神的な、『リンチ』だ。
嗚呼、そうか。少しだけ、こいつらのやりたいことわかってきた気がする。こいつらは、俺の心がどうすれば綺麗に元に戻せないくらいぽっきりと折れるのか考えた結果が"これ"なんだ。暴力的な部分を全て取っ払って、恋人みてぇに優しく触れる。そんなやり方が、一番可能性があるだろうって、こいつらは考えたんだ。
視点を変えて見てみれば、それは野郎に触れる不快感を耐えてでも、俺への復讐を成し遂げたいということ。それだけ、俺は恨まれているということ。それなら少しくらい覚えていても良いはずなのに、俺の記憶にこいつらの存在が欠片もないのはどうしてだろう。
ーそういう、とこが恨まれてんのかなー
自分たちがこれだけ恨んでも、俺はその原因なんて記憶にない。もしかしたら、それは当時の俺が"どうでもいいこと"だと処理してしまったのかもしれない。自分のことで一杯一杯だった俺のことだ。あり得ない話でもなかった。記憶にないんだから、否定できなかった。
最初は恨まれる理由に心当たりがなかったから、すげぇ理不尽だなって思ってた。ただの八つ当たりだったりすんじゃねぇのか、って。
でも、こいつらにとっては紛れもなく俺は『 悪 』なんだ。それも、自分の身を犠牲にしてでも滅ぼしてやりたいくらいの。
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