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「…狼城君も。なんならここでピアスを外してください」
「…っ、ぅ…、」
ピアスの飾りを一直線で結ぶように、指で耳を椿がなぞってきて、ゾワゾワ、と背筋になにかが走るような感覚がして、椿の手を振り払って、椿を睨んだ。
「ファッションとして楽しむのは自由ですし、中学生の時どうだったか知りませんけどここは高校です。高校生らしい格好をしてください」
「…ッチ」
「え、ちょ…ルウちゃん待って」
『中学生』。出来れば思い出したくない当時のことが頭を過る。ちらつくそれに色々なものがつのっていく。
向こうにその気がないのは分かっているが、このままだと殴ってしまいそうで、椿を睨むとそそくさと校門を潜り校舎の中へ。
それを後ろから追いかけてくる愁が「"壊せ"ばよかったのに」と言ってきた。
そうはいっても、なあ。
「…初っぱなから教師を殴ったら面倒なことになるだろ」
停学、もしくは退学。俺が食らったら愁を止めた意味がない。
「…嗚呼、そっか。流星さんにせめて高校は卒業しろって言われてんだっけ?なるほどね、流石ブラコン」
「…うっせぇよ」
俺を高校にいかせてくれてんのは兄貴。
親はいるけど、元々親は俺を進学させる気なんて無かった。
…否、それは少し語弊が有るかもしれない。
そんな気があるない以前に、俺のことは眼中に無かったと言った方がニュアンスとしては合ってる。
だから兄貴を裏切らねぇように、高校はちゃんと卒業したいだけ。なるべく問題を起こさずに。
別に、ブラコンってわけじゃない。
「けど、それはそうと担任あいつじゃん……最悪。俺屋上いくけどルウちゃんどうする?」
「……俺もいく」
「おっけ」
俺達のサボり場と言えばいつも屋上。鍵を開けるのは愁の担当。
気に入らない奴の授業の時間とかによく中学の頃から使っている。
だから今日も俺達は躊躇いもなく立ち入り禁止とかかれた看板を無視して、屋上の扉をこじ開けた。
昨日まではそうでもなかったのに、すでに俺の中で椿は、嫌いな位置にいる人間になっていた。
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