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「…何、しねぇの」
「自暴自棄になってるやつを犯すのは趣味じゃないんでね」
さっきまでヤる気満々だったくせに。
セフレ探してたんならヤりゃあいいのに。
本当意味がわからない。
自暴自棄、とか。俺はただそんなにヤりたいならヤればって言っただけなのに。
…まあ、ヤらねぇならそれでいいけどさ。
「…あっそ」
くしゃくしゃになったネクタイを首にかけて結んで、立ち上がる。
縛られていたそこは赤くなっていた。
「次はねぇと思えよ」
椿を睨んで、俺は屋上から出ていった。
ヤられても良いって思ったのは今回だけだ。こんなやつに次もまた手を出されてたまるかよ。
化けの皮が剥がれた椿を愁が知れば、どういう顔をするんだろうな。
あいつの本性を知った今ならわかる。
あれはただの"同族嫌悪"だと。
"落とせる"と思ってたけど、同族なら無理だろ。"そういう"手はお互い知り尽くしてるんだし。
…多分俺に当たってくるかそこらのやつで苛つきを発散するんだろうな。
そんで、ヤられかけた俺に甘い蜜を吸ったかのように、"ご馳走さまぁ"と言うんだろう。
……嗚呼、未来が目に見える。
だが、あいつは本当にどうしようもない"屑"だけど、ちゃんと俺の事は考えてくれている。
あいつは俺が絶対に触れてほしくない"前の家"のことを俺をからかうネタに使うことは決してない。
多分俺の不幸を嘲笑った後に、「大丈夫?」と優しく語りかけてくれるのだろう
あいつは"屑"だけど"優しく"もある。
人を"不幸"にすることはあっても"さらに不幸"にすることはない。
そんなやつだからこそ、俺はあいつと一緒にいる。
家族である兄を除いて、俺を本当の意味で理解してくれているのは愁しかいないと分かっているから。
「…嗚呼、依存してんのかもな俺は」
それは愁も同じだろう。"自分"の為に互いに依存しあう、そんな歪な関係。
だけど、それが"塵"の俺達には丁度良い関係だ。
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