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3年くらい前にこの高校に赴任した。
高校生といってもまだまだ餓鬼臭い。俺が高校生だった頃と同じで背伸びして、けれど幼いところが残る、そんなやつら。
教師と生徒が恋愛とか、よく漫画とか小説とかでは題材にされるけれど、そう思ってしまうのだから現実ではとてつもなくでかい年齢差ってのは幾ら足掻いても埋めることはできないのだと思う。だからかなりの年上好きと年下好きじゃないときっと成り立たない。
俺はどちらかと言えば年上の方が好き。それか年の近い年下とか。一回り以上も下な高校生なんて守備範囲外。
この高校にくる前に何度か俺が距離を間違えてしまったのか生徒に言い寄られたことがあって、正直鬱陶しかったからこの高校では猫を被ることにした。
――まあ、それで生徒間での距離を保ちつつ上手いことやって来た。俺基準で。
今年度に入る前、教師たちがムンクの叫びみたいに絶望しきった顔で何か話していて、内容を聞くと、噂の"悪魔と狂狼"が2人揃ってこの高校に来年度入学する、とのことで。
確か、2年とちょっと前から噂になっていた少年2人。
ここはそこそこ頭のいい高校でまさか受かるとは思っていなかった教師たちの顔と言えば、それはもう滑稽だった。
優等生ばかりのこの学校に、最恐の不良が2人。
絶望しきって今にも辞職届を出しそうな教師たちには悪いが、楽しみで仕方がなかった。
俺は人をからかうのが趣味の悪く言えば"屑"と呼ばれるであろう人間、自分で言うのもあれだけど。
だからからかいがいのない奴がいないここで働くのは少し飽きていた頃だった。
そんな俺がこんな美味しい話に食いつかないわけがない。
気がつけば担任を受け持つのが嫌だ嫌だと言う教師たちの間に入り、俺は笑顔でこう言っていた。
「俺が2人の担任をしましょうか」
と。
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